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日常問題 : 生活騒音について考える
1 先日出された幼児の足音の騒音について
この前、上階に住んでいた若夫婦の2歳くらいの男子の幼児の足音が騒音であるとして、30万円の損害賠償請求を認容する東京地裁の判決が出たそうです。
この判決が出たときには、公園の噴水に騒ぐ子どもの声がうるさいとして、噴水の水の差し止めを求めた仮処分の決定が出たのと同時期だったので、結構ニュースでも取り上げられました。
日常的に、このような相談を受ける立場としては、少々納得のいかない判決です。
問題点は、下記のとおりです。
? 子どもが出す騒音とはどういうものか
2,3歳の男の子の体重は、だいたい15キロ程度。4歳の成長曲線がマックスの幼児で(つまり医学的肥満児クラス)で19キロ程度とされています。
幼児が思いっきりドンと音を出しても、2,3歳児の身体能力・・・そもそも飛ぶことがほとんどできず、助走、跳躍が期待できないことからすれば、局部集中荷重がなされたところで、体重の倍の荷重は恐らく困難です。
とすれば、このような幼児が「どすん」とやっても、体重40キロの成人か「どすん」とやる方がよほど床に体重がかかることになり、騒音になるはずです。
にもかかわらず、大人の廊下歩行は問題なくて、幼児の歩行のみ問題となるという建物は、果たしてあるのでしょうか。
元気のいい小学生中学生の男の子だったら話がわかりますが、いくら男の子でも幼児の足音だけが、突出して騒音になることはちょっと考えられません。
? 階下に響く音があったのか
朝のワイドショーでは、どこかの局が実際の騒音を流していました。
音の大きさは、録音状態によるのでひとまずおいておくとして、問題は足音の間隔です。幼児の身長から考えられるところのだいだいの歩幅を想像するに、小走りで、わざと階下に騒音を出すために「どん」と飛び跳ねているというより、「てけてけ」歩いている程度でした。
子育てはあっという間に終わるので、あまり印象がないかも知れませんが、あんよを始めたころの幼児(1歳から1歳半)は、会話ができません。医学的には2歳までに走れることが発達の目安になっています。「走るな、歩け」の言葉がわかるのは、2歳後半か3歳くらいのことではないでしょうか。
判決では、「子どものしつけは必要」などと判示があったそうですが、これって、本当にしつけの問題でしょうか。会話も満足にできない可能性がある幼児に対して、しつけができたのかどうか。
「てけてけ」するなは、しつけの範囲でしょうか。
また、夜更かしをして夜間足音がするのは問題があるかのように判示したとのことですが、共働き世帯では、また保育園にはお昼寝タイムがあることから、9時の睡眠などざらだし、夜起きてきて(親にとっては起こされて)水などを飲むことは、この年齢なら結構あると思うのは、私だけでしょうか。
専業主婦が家で一日中子どもの面倒をみるという昔ながらの生活スタイルだけで、「しつけ」とひとくくりにして欲しくないですね。
? 騒音と認定された理由
ではなぜ、今回、騒音と認定されてしまったのか。
騒音計70デシベル(60でしたか?)という客観的事実を否定できなかった点が上げられるでしょう。
裁判においては事実認定は重要で、町の街頭にある騒音表示に比べると、結構な音がしているような気がします。しかしですね、特定の音源を拾わない街頭騒音と音の発生源を瞬間的に捉える音の測定とでは、場面が違うと考えます。
私は、通常の使用により不可避的に普通に発生する生活音と、それ以外の騒音は、受忍限度としても分けて考えるべきだと思います。
今回のような生活音に関連する音については、もう少し受忍限度の範囲を広く捉えて良かったではないじょうか。
これは、公園噴水の水差止めの例でも言えます。
公園の設置がその人の居住より後だった場合には、騒音についての制約はそうでない場合より、より厳しくなるのが傾向としてあります。
しかし、深夜にバイクの音がうるさいのは、予定された使用方法ではないとしても、公共の公園に日中不特定多数人が出入りするのは、公園の通常の使用方法なわけですから、受忍限度は広く解釈してもよかったのではと思います。
また、公園で、子どもの声が聞こえないように完全な遮音壁など作れば、日照(高い塀ができる近隣の被害)、防犯面(公園に目が届かなくなり、誘拐、その他の犯罪が発生)でのデメリットはどうなるのでしょうか。対立利益についても検討していただきたいものです。
2 防音対策
ともあれ、ご近所トラブルは、常日頃つきまとうものです。
どうすれば、これをなるべく避けることができるのか。
今回の原因は、私は建物の構造にあると考えます。まずは、防音対策を取りましょう。
? ジュータンを敷く。
フローリングにクッション代わりになるものを敷くことで音の衝撃はずいぶん小さくなります。
? 床材の交換
今は、L45等級などいい床材もある程度安くなってきています。
遮音性のあるフローリング工事をすることも効果があります。賃貸であれば、大家に階下から苦情があることを伝え交換してもらうようにしましょう。
? 断熱材の床下挿入
フローリングとコンクリート床の空間の空気は、時に音を拡大させる効果があると言われています。太鼓現象と言われるものです。遮音性のため、断熱材を床に敷き詰める方法も行われています。
3 入居前対策
しかし、そうは言っても、木造のアパートだったり(特に、居住用をアパートに作り替え、遮音構造を取っていない場合)、古いコンクリートマンションで畳の間だったところをいい加減なフローリングのリフォーム工事をして遮音性が悪く、音が筒抜けだったりする場合などもあります。
建物の構造からくる騒音は、実際には、否定できません。
普通に室内を歩いても、フローリングの上に2重にカーペットを敷いても、苦情を言う人は苦情を言います。苦情が出るからには、おそらく何らかの音は聞こえると思われます。
しかし、このような場合には、自分たちも階下に迷惑がかかっているかも知れないからと、よほどひどい場合でなければ文句を言ったり言われたりしないのが一般的です。
したがって、文句が出るのは、階下の住人がいない場合、マンション暮らしに慣れていない場合に出る苦情が考えられます。
先程のケースに戻ると、どうも訴えていたのは高齢者で(早寝をするため、生活スタイルが異なる。) 、1階に住む住人ということですから、一番苦情が出やすいパターンだったかも知れません。
教訓として、子育世帯は、ファミリータイプでしかも高齢夫婦が階下に住んでいない、あるいは住まなさそうなところを買ったり、借りたりするということでしょうか。
そう考えると、少し高めのところを買ったり借りたりする方がいいということになるのでしょう。
時代は、少子化対策というのに、これでは、先が思いやられるというのは、私だけでしょうか。
これからは、社会に占める高齢者の割合がますます増えていき、必然的に高齢者主体の社会になることは、避けられません。
しかし、仮にそうであるとしても、国家基盤の維持という長期的展望を視野に入れ、多数派を尊重しつつ、国策を加味した判断をしてもいいのではないかと考えます。
・・・高齢者世帯も、ゆくゆくは耳が遠くなりテレビ騒音その他の被害を近所にふりまくことも考え、お互い様の意識をもっていただきたいと思います。
裁判官の多くは、官舎に住みます。官舎は、基本的に造りが頑強で、外廊下以外に足音の騒音などはほとんどないが、造りが古く、配管騒音(排水に空気が混じると音が出ることから、今時の新築建物であれば、空気抜きをきちんと設置することで配管音を防ぐようになっています。)などは逆に残っている特色を理解しつつ、巷の実情も知って貰いたいと、こういう報道をみて思います。
この前、上階に住んでいた若夫婦の2歳くらいの男子の幼児の足音が騒音であるとして、30万円の損害賠償請求を認容する東京地裁の判決が出たそうです。
この判決が出たときには、公園の噴水に騒ぐ子どもの声がうるさいとして、噴水の水の差し止めを求めた仮処分の決定が出たのと同時期だったので、結構ニュースでも取り上げられました。
日常的に、このような相談を受ける立場としては、少々納得のいかない判決です。
問題点は、下記のとおりです。
? 子どもが出す騒音とはどういうものか
2,3歳の男の子の体重は、だいたい15キロ程度。4歳の成長曲線がマックスの幼児で(つまり医学的肥満児クラス)で19キロ程度とされています。
幼児が思いっきりドンと音を出しても、2,3歳児の身体能力・・・そもそも飛ぶことがほとんどできず、助走、跳躍が期待できないことからすれば、局部集中荷重がなされたところで、体重の倍の荷重は恐らく困難です。
とすれば、このような幼児が「どすん」とやっても、体重40キロの成人か「どすん」とやる方がよほど床に体重がかかることになり、騒音になるはずです。
にもかかわらず、大人の廊下歩行は問題なくて、幼児の歩行のみ問題となるという建物は、果たしてあるのでしょうか。
元気のいい小学生中学生の男の子だったら話がわかりますが、いくら男の子でも幼児の足音だけが、突出して騒音になることはちょっと考えられません。
? 階下に響く音があったのか
朝のワイドショーでは、どこかの局が実際の騒音を流していました。
音の大きさは、録音状態によるのでひとまずおいておくとして、問題は足音の間隔です。幼児の身長から考えられるところのだいだいの歩幅を想像するに、小走りで、わざと階下に騒音を出すために「どん」と飛び跳ねているというより、「てけてけ」歩いている程度でした。
子育てはあっという間に終わるので、あまり印象がないかも知れませんが、あんよを始めたころの幼児(1歳から1歳半)は、会話ができません。医学的には2歳までに走れることが発達の目安になっています。「走るな、歩け」の言葉がわかるのは、2歳後半か3歳くらいのことではないでしょうか。
判決では、「子どものしつけは必要」などと判示があったそうですが、これって、本当にしつけの問題でしょうか。会話も満足にできない可能性がある幼児に対して、しつけができたのかどうか。
「てけてけ」するなは、しつけの範囲でしょうか。
また、夜更かしをして夜間足音がするのは問題があるかのように判示したとのことですが、共働き世帯では、また保育園にはお昼寝タイムがあることから、9時の睡眠などざらだし、夜起きてきて(親にとっては起こされて)水などを飲むことは、この年齢なら結構あると思うのは、私だけでしょうか。
専業主婦が家で一日中子どもの面倒をみるという昔ながらの生活スタイルだけで、「しつけ」とひとくくりにして欲しくないですね。
? 騒音と認定された理由
ではなぜ、今回、騒音と認定されてしまったのか。
騒音計70デシベル(60でしたか?)という客観的事実を否定できなかった点が上げられるでしょう。
裁判においては事実認定は重要で、町の街頭にある騒音表示に比べると、結構な音がしているような気がします。しかしですね、特定の音源を拾わない街頭騒音と音の発生源を瞬間的に捉える音の測定とでは、場面が違うと考えます。
私は、通常の使用により不可避的に普通に発生する生活音と、それ以外の騒音は、受忍限度としても分けて考えるべきだと思います。
今回のような生活音に関連する音については、もう少し受忍限度の範囲を広く捉えて良かったではないじょうか。
これは、公園噴水の水差止めの例でも言えます。
公園の設置がその人の居住より後だった場合には、騒音についての制約はそうでない場合より、より厳しくなるのが傾向としてあります。
しかし、深夜にバイクの音がうるさいのは、予定された使用方法ではないとしても、公共の公園に日中不特定多数人が出入りするのは、公園の通常の使用方法なわけですから、受忍限度は広く解釈してもよかったのではと思います。
また、公園で、子どもの声が聞こえないように完全な遮音壁など作れば、日照(高い塀ができる近隣の被害)、防犯面(公園に目が届かなくなり、誘拐、その他の犯罪が発生)でのデメリットはどうなるのでしょうか。対立利益についても検討していただきたいものです。
2 防音対策
ともあれ、ご近所トラブルは、常日頃つきまとうものです。
どうすれば、これをなるべく避けることができるのか。
今回の原因は、私は建物の構造にあると考えます。まずは、防音対策を取りましょう。
? ジュータンを敷く。
フローリングにクッション代わりになるものを敷くことで音の衝撃はずいぶん小さくなります。
? 床材の交換
今は、L45等級などいい床材もある程度安くなってきています。
遮音性のあるフローリング工事をすることも効果があります。賃貸であれば、大家に階下から苦情があることを伝え交換してもらうようにしましょう。
? 断熱材の床下挿入
フローリングとコンクリート床の空間の空気は、時に音を拡大させる効果があると言われています。太鼓現象と言われるものです。遮音性のため、断熱材を床に敷き詰める方法も行われています。
3 入居前対策
しかし、そうは言っても、木造のアパートだったり(特に、居住用をアパートに作り替え、遮音構造を取っていない場合)、古いコンクリートマンションで畳の間だったところをいい加減なフローリングのリフォーム工事をして遮音性が悪く、音が筒抜けだったりする場合などもあります。
建物の構造からくる騒音は、実際には、否定できません。
普通に室内を歩いても、フローリングの上に2重にカーペットを敷いても、苦情を言う人は苦情を言います。苦情が出るからには、おそらく何らかの音は聞こえると思われます。
しかし、このような場合には、自分たちも階下に迷惑がかかっているかも知れないからと、よほどひどい場合でなければ文句を言ったり言われたりしないのが一般的です。
したがって、文句が出るのは、階下の住人がいない場合、マンション暮らしに慣れていない場合に出る苦情が考えられます。
先程のケースに戻ると、どうも訴えていたのは高齢者で(早寝をするため、生活スタイルが異なる。) 、1階に住む住人ということですから、一番苦情が出やすいパターンだったかも知れません。
教訓として、子育世帯は、ファミリータイプでしかも高齢夫婦が階下に住んでいない、あるいは住まなさそうなところを買ったり、借りたりするということでしょうか。
そう考えると、少し高めのところを買ったり借りたりする方がいいということになるのでしょう。
時代は、少子化対策というのに、これでは、先が思いやられるというのは、私だけでしょうか。
これからは、社会に占める高齢者の割合がますます増えていき、必然的に高齢者主体の社会になることは、避けられません。
しかし、仮にそうであるとしても、国家基盤の維持という長期的展望を視野に入れ、多数派を尊重しつつ、国策を加味した判断をしてもいいのではないかと考えます。
・・・高齢者世帯も、ゆくゆくは耳が遠くなりテレビ騒音その他の被害を近所にふりまくことも考え、お互い様の意識をもっていただきたいと思います。
裁判官の多くは、官舎に住みます。官舎は、基本的に造りが頑強で、外廊下以外に足音の騒音などはほとんどないが、造りが古く、配管騒音(排水に空気が混じると音が出ることから、今時の新築建物であれば、空気抜きをきちんと設置することで配管音を防ぐようになっています。)などは逆に残っている特色を理解しつつ、巷の実情も知って貰いたいと、こういう報道をみて思います。
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