中国 属国議論、韓国の歴史観

投稿日時 2013-05-11 | カテゴリ: 時事問題

 ここ数日、中国のメディアが、尖閣諸島ではなく、沖縄そのものが中国の属国であったとの主張で、にぎわい始めました。
 過去に何とかの礼を中原にあった国に取ったら現代でも属国になるというのであれば、チベット、ウィグル、ベトナム、韓国、北朝鮮も全部属国で、中国の領土というに等しいのですが・・・・、そこまで、考えて言っていますかね。
侵略正当化のためのこじつけ議論であり、ある意味、周辺地域にとっては危険極まりない思想でもあります。

 当然のことですが、第二次世界大戦のころに、強制的に領土に取りこまれたウィグルでは、漢民族と文化も風習も全く異なるため、相変わらず独立運動が激しいし、チベットについても、然り。チベットも、中原とは文化も風土も全く異なります。
 そもそも、清王朝は、支配階級が漢民族ではないので、主に漢民族の支配する中国共産党率いる中国が同じ国と言えるのか、かなり微妙です。
 ヨーロッパで言えば、ウィーンが神聖ローマ帝国の首都だったから、そこにあるオーストリアは、現代でも、神聖ローマ帝国の領土全部を主張できると言っているようなものです(ただし、中国が属国と言っているのは、正確には国境線の外の地域で、厳密には領土ではない)。
 全くもって、通らない話です。

 チベット族が多く住む、四川の地震の際には、何を思ったか人民解放軍はインド国境の武装非中立地帯にまで進出。
 北朝鮮のミサイル攻撃のニュースがあった時に、メディアに顔を出していたのも人民解放軍の話題。
 メディア報道の限りでは、チベット族はもっと穏当な共存共栄を願って日々活動しているような気がしますが。
 
 中国属国議論は、韓国、北朝鮮、ベトナムに対する領土議論にもなり、これらの国々の方が中国との結びつきが強かったわけですから、その意味することは、かなり深刻な歴史の問題を抱えるのですが、韓国メディアは何も言わない。
 他方で、韓国大統領は、領土問題も、また、仏像返還問題のように超法規的措置を全く修正することなく、領土議論をする中国に対してではなく、我が国に対して、正しい歴史の認識をすべきだと主張する。

 比較的歴史が浅い国々が多い、欧米にとって、数百年前の話をするだけで唐突感があり、それをアピールすることで、存在感を見せつける効果が高いことは、米国系韓国人の、アメリカ社会や、EUの雄の一つドイツに対する自己のアイデンティティーのアピール方法を見るとよく実感できますが、ま、歴史も、都合よく政治的に利用されるということなのでしょう。
 
 韓国メディアのように、ドイツ、ドイツと、敗戦国ドイツの例を引き合いに出して日本を非難するのであれば(日本独特の神道の独自性、たたり神信仰すなわち非業の死を遂げた人々に対する神格化、お祀りの方がむしろ多い実態を知っていながら、知らないふりをして、表面的な非難を続ける姿勢も正直よくわかりませんが。)、東西ドイツが統一できて、朝鮮は統一できていない、主たる原因の一つでもある経済格差の解消をNGO任せにするのではなく、アングラ系事業でしか外貨獲得できない隣国の国家体質を正常化させ、国家融合できる素地を、メディア、政府で着実に形成すべきと思います。
南北朝鮮とも、祖国統一のスローガンだけは、時代が変わっても、面白いように全くぶれがないのですから。

 私の世代は子ども時代に中国との国交がなかったため、テレビ番組としての最初の中国は、NHKのシルクロードでした。喜多郎のシンセサイザーに合わせ、雄大な大地をラクダに揺られて行くというドキュメンタリーのストーリーは、中国の広大さを感じさせ、そのまま、いつかは行ってみたいところとインプットされたものです。
 漢字文化を捨て、全く新たなハングル国家に生まれ変わった韓国や北朝鮮ではないのですから、何でもつなげて考える歴史は、逆に言えば、何にでも口実を与えることになります。
 従軍慰安婦ではないですが、何も反論しないまま、放置すれば話が恐ろしく誇張され、何十万人というありもしない被害者が続々作られるわけですから、こういうことは議論が出てきた時に、整理しなければなりません。

H25.5.11補足
 中国共産党内の労働者階級の復権の動きは、歪みの補正として必要なことですので、それ自体は問題ありません。できれば、それに勤労とか何とかとプレミアムを付けるのではなく、民主主義の根本である1人につき1つの人権という単純な発想で数で裏打ちする方が望ましいような気がします。
 政治学的な意味での数は、我が国だと選挙の洗礼だったり、参政権がらみで考えがちですが、20世紀の初めには画期的な思想と言われた、社会主義より民主主義の国家の方が今では大半となったのは、1人につき1つずつ平等な権利が付与されるという形式が(民主主義が適正に機能するのはそれだけでは足りない。結局のところ、船頭多くして・・・になったら意味がない。)、単純に受け入れやすかったこともあると思います。
 人権が一人に一つ平等に与えられるという前提で、民主主義が適正に機能するために一番重要なのは、話し合いすなわち意見交換・集約と適切で正確な情報提供に尽きます。俗に議会政治と言われますが、話し合いをして結論を出すことにより、密室政治と異なり、視野が極端に狭くなった政策が実行されることを防止します。更に、それでも問題が生じる場合には、それをどこかで是正する。
 だから、表現の自由、報道の自由は、適切で正しい情報の確保の手段として重要なのです。 

 現金なもので、今の方がより良い環境であれば、誰も過去に戻りたいとは思わないし、独立運動を含め、過去に巻き戻すような運動をしないわけです。望ましい政治とは、全体との均衡も図りつつ、その地域に納得してもらえる政治を実現することではないかと思います。
 これはどの国でも同じことです。

H25.5.25補足
 ここ数日間、メディアに賑わした従軍慰安婦ですが、ようやく終息してきました。日本的にとりあえず謝罪するというパフォーマンスは、世界的ではないし、きちんとした検証、調査もせず、一部の意見だけでやった対応でも国のトップの言動は、とてもつなく重いということですかね。
 しかし、「攫って行った」とか「被害者は20万人」とか、「Slave」というのは、明らかに事実ではないのですから、それは的確な機会を捉え、根気よく言い続けなければなりません。
 第二次世界大戦では戦場にならなかった朝鮮半島から20万人もの女性を戦場に強制的に連れて行ったなどということが、事実なわけがありませんが、必要な範囲で根気強く必要なことを言い続けなければ、今回のようなことになってしまいます。
 最近韓国国籍の女性が、売春の周旋で得たのではないかと言われている1億円以上の利益を隠して生活保護を受給したとして逮捕されました。こういう記事を見るにつけ、いろいろ思うところはありますが、全くの野放し状態での周旋組織が巨大化した結果、多額の利益が上げられていたのであれば、個人の意思がないがしろにされている可能性が高いのですから、これは撲滅するしかありません。

 




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