自分の目で見て、考える

投稿日時 2012-01-11 | カテゴリ: 時事問題

明けましておめでとうございます。
 当事務所は4日から執務を開始しました。年内早めに冬休みに入るため、11月から土日1日は出勤し、12月の土日はほぼ両日出勤、更には12月はほぼ20時以降の帰宅で、その後も残業有りという、なかなかハードなスケジュールをこなしました。
 とはいうものの、その後同業の友人にこの話をしたら、「それ(夜の残業、休日出勤)は、今でもよくある」と指摘され、この年になっても上には上がいると、改めて、身が引き締まる思いです。  
 なお、休暇はなかなか有意義で、少し時間を見つけて調べた上で、「コンクリート構造物で構成された都市の、よりよい再開発とは何か」をテーマに書ければと思っています。
 
 百聞は一見に如かず。行ってきました、イタリアに。
 日本の建築基準法と耐震設計が身についている私としては、ピサの斜塔は怖かった。
 アーチ橋の原理により外力・自重に対してある程度安全と理解はできるのですが、配筋なしの組積工法で、水平が確保されない建物にいるのはどうか・・という認識が拭えませんでした。上まで駆け足で昇ったり、最上部の低くなっている方に居続けると結構怖いです。なお、階段部分の極端なすり減り方は別ですが、築年数があるのに石組みに劣化、損傷はなかったのはすばらしいことです。
 また、ローマ市内の、建物を取り壊すことなく、古い建物の上にそのまま新たに建物が建てられていたり、建物にやたら地階が多いことなどは、地震対策として、建物に強度確保が要求される日本では考えられません。
 しかし、地震がないと言っても、自重により建物が陥没することなく、実際に存在し続けていることの意味は大きいと感じました。 他に例がない、長い歴史のある石造りの都市でのやり方は、現在の再開発のように、全部壊して一からやり直すという方法だけではない、有効的な再開発のヒントがあるような気もします。

 昨年の話題と言えば、TPPでしたが、アメリカのパブリックコメント募集の記事によれば、(農産物も含まれそうですが)日本の関税障壁は既にほとんど撤廃されているとのことですが(これも本当なのか知りませんが)、何がデメリットなのか、メリットなのか、もっと情報が欲しいところです。
 
 なお、国民皆保険制度が撤廃される危惧があるとも言われますが、我が国の健康保険制度の保険料は税金が占める割合は大きいし、実際赤字なわけですから(見た目黒字の保険組合もあるが、それは核家族化の進行により独立世帯となっている高齢者が国民健康保険に集中し、その分健康な人が大半を占める勤労者世帯の占有率が高いことが原因。)、治療費支給を目的とする健康保険の民間開放が、外資に取り、さほどメリットではないと思っています。むしろ、赤字体質の健康保険制度を国家が無理無理存続させる前提で(どう考えても健康保険への税金投入拡大を阻止できないのに、年末の診療報酬改定も、薬の保険点数を下げ、なぜかこのご時世で人件費の値上げとしか考えられない改正を認め、医療費(診療報酬)値上げほぼ0%達成という厚労省の感覚は未だに理解できない。また、このまま健康保険制度が破綻すれば、一番不利益を被るのは、健康保険制度の恩恵を受けている者だとの認識がない業界の姿勢もよくわからない。)、いわば2階部分の医療保険を設計する方が、利益がでるのではなかろうかと思います。
 つまり、現在の民間医療保険は、健康保険制度がある前提で、保険の支払いをします。健康保険のカバーされる医療費の給付をしなくてすみます。そのため、おそらく、アメリカの、同様の医療保険の保険金給付額(保険会社が支払う保険金)より日本の保険金給付額の方が格段に少ないはずで、契約者が支払う保険料額との兼ね合いはありますが、理論的には保険会社はずいぶんな黒字体質のはずなのです。
 我が国の民間の医療保険は、その補償内容は休業補償であることの方が多いですが、こういう民間保険は、他国ではあまり見かけないのではないでしょうか。医療保険は医療費相当額の保険金支給の方が世界的には主流のはずです。
 このように考えると、外国圧力により国民皆保険制度がなくなると言うよりも、(制度破綻はともかくとして税金投入を前提とした)国民皆保険制度を生かす前提で、民間医療保険に大々的に参入する方が外国にとっては現実に魅力があるのではないしょうか。

 現状でも、民間保険にはCMの耳障りはよく、保険料も安いが、約款を読むと補償にはやたら制限(免責条項)が設けられていたり、あるいは制限による保険支給額の極端な減額がある保険もあります。また、保険金請求の段階になると、保険会社が支払いを極端に渋り、保険料が安くても、結局得にはならない保険などもあります。
 厳しい言い方をすれば、保険会社は、約款で免責条項を細かく設け、保険金支給要件を満たしても支払いをしなくてもよい仕組みを作れば、利益がでます。ただ、こういう方向で、いかに利益を出す保険を設計するかを、外資入り乱れて保険会社同士が競争する状態になったら、消費者としては、ものを見る目を養わなくてはならないということになるのでしょう。
 これからは、保険料の違いだけに着目して、保険の乗り換えをするのではなく、補償内容の他に、どんな免責条項(保険支給要件を満たしても支給させないケース)があるのか、実際に保険金の支払い状況は良好かなど、保険金を受給する・される際の払い出しの実態も十分考慮して、保険を決めるべき状況になります。
 いろいろな保険金請求の場に関与すると、同じような事例で、同じような保険料を支払っていても、保険会社により、支給される金額に差が出るケースはよく見られるので、個人的には、保険は、免責約款、支払い状況まできちんと確認すべきと考えています。 
 ここまで来るとTPPとか障壁云々の問題ではなくなりますが、保険営業マンの説明だけでなく、その保険、その保険会社の保険金の払出実績金額が重要との認識で、保険契約の加入をすることを是非お勧めします。

 今年こそ、皆様にとって、いい年でありますよう祈念し、年頭の挨拶といたします。




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