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投稿者 : admin 投稿日時: 2007-11-05 (4584 ヒット)
 カルチャースクールがいろいろ開講され、全盛期などと言われています。
ある程度の期間開講が予定されている場合で、「月謝の支払いは、口座引き落としでやります。」といわれる場合があります。

 ところが、口座振替兼入会申込用紙の内容には、かなり問題がある場合があるのでご注意下さい。
 
 用紙の表題は、「預金口座振替届出書兼譲渡承諾書」というものがあります。
 つまり、これは、料金収納代行に対して、収納だけではなく債権譲渡を同時に行うことになります。
 債権譲渡させる程度は、まあ、仕方のないものなのかも知れません。
 
 ところが、最近これに、「異議なき債権譲渡承諾」の文言を入れている業者がありました。
「現在及び将来取得する私に対する債権を上記の会社(代行収納会社)に譲り渡すことを予め異議なく承諾します。」という文言に対して、署名、押印させるのです。

 「異議なき承諾」は、民法上468条1項で明文で規定がある法律用語です。
 異議をとどめない債権譲渡の場合には、例えば、代金に見合う授業日数を受けられなかったなどの債権譲渡人すなわちカルチャースクールの主催者に「抗弁」がある場合でも、開講期間に相当する月謝について、予め債権譲渡がなされると、抗弁を対抗できず、全額につき支払い義務を負うというものです。

 2年契約の場合には、例え月謝性の支払いがあったとしても、下手すると意に反し収納代行会社に対して2年間の月謝支払い義務を負ってしまうので、途中退会がしにくくなるわけです。
 最近会社更生法上の申請をした大手英会話スクールの場合を例にとれば、当初の予定していた受講期間が未了で、授業が成立していないのに、債権譲渡を受けた譲受人に対して、受講期間全期間の支払い義務を免れないことになります。

 もちろん、カルチャースクール側の説明は、月謝制であり、退会は前月10日までに告知すればいいということになっていますが、これ、事実と異なる場合も出てくるわけです。
 特に、事業がフランチャイズ事業で、事業の実施主体の経営基盤が脆弱な場合には、倒産危機をすべて受講側に負わせることにもなりかねません。

 なお、クレジット会社が、料金収納代行ではなく割賦販売として関与している場合には、特商法に基づく抗弁接続などが主張できますから、上記のような不都合はありません。

 上記問題点は、これが純然たる債権譲渡で「異議をとどめない」としていることに、特別法の適用がない問題があります。
 将来発生する債権について「異議をとどめず」、債権譲渡を承諾することなど、机上論と思っていたのですが、こうやって、何も知らないまま、異議なき承諾がなされていったりするのですね。

 「将来発生する債権」に対して、将来にわたって、何も文句がなくちゃんと債務を支払いますというのが、異議をとどめない承諾の意味ですが、将来、何が起こるかわからないから、こんな承諾、知っていれば、やりません。
 が、満足な説明なく、こういうことがまかり通り、最終的に裁判となれば、原則として、署名押印があることをもって「異議なき承諾は有効」とされる厳しい現実が待ち受けています。
 
 口座振り替え手続きについて、そりに署名押印すると何に承諾することになるのか、署名押印欄について前後の文章をよく読み、十分注意して下さい。

投稿者 : admin 投稿日時: 2006-05-05 (1318 ヒット)
 次の問題に対して、あなたはイエス、ノーどちらだと思いますか。

1 病院は、清潔である。一般家庭より衛生的である。
2 病院は病気を治すところであり、病気を貰うことはない。

いずれも、ノーです。
まず、1ですが、病院では消毒剤など日常的に使っているので、普通の菌ではなく、消毒剤、殺菌剤に強い菌、すなわち耐性菌が蔓延していることは周知の事柄です。
 耐性菌とは、簡単に言えば抗生物質が効かない菌で、代表的なのがMRSAなどです。一般家庭には通常いないと言われています(日常的に殺菌剤をばらまいて、下水管に耐性菌が発生しているのなら別でしょうが)。
また、2ですが、病院はいろいろな病気の患者が集まる故、病気をもらってきてしまうことがあります。

では、これはどうでしょうか。
3 薬は、化学物質であるが、医師がきちんと処方しているから たとえば塗り薬などで、化学物質過敏症になることはない。
4 ステロイド剤など、継続的に使用される薬が、過剰投与された場合でも 臨床検査はきちんとしているから 問題ない。

いろいろ、考えることは尽きません。

 ちなみに、医療裁判は、当該医療の上手い下手を問題にするわけではありません。
 標準的な水準に比べて水準以下だから問題とします。
 ですから、医療裁判は、きちんと医療が機能していれば、そんなに起こりうる話ではないはずです。
 ただし、医療裁判は、所詮、覆水盆に返らずで元の体が戻ってきたりするわけではなく、限界があります。

 ともあれ、何が起こるかわかりません。
 自衛が最善。必要最低限の医療の利用を目指すには、
 まずは健康体の維持からということでしょうか。
 最近、漢方薬を愛用しています。

投稿者 : admin 投稿日時: 2006-04-29 (1490 ヒット)
先日、アイフルが数日間の全店業務停止処分を受けました。商工ファンド(現SFCG)以来でしょうか。
金融庁が金融ルールをきちんとコントロールしている証拠ですから、この点は、高く評価できると思います。

さて、このアイフルを業務停止を追い込んだのは、弁護士グループの組織的活動の成果ですが(私は、加入しておりません。)、最初に問題視されたのは、不動産担保を取った融資を無差別に行い、強引な取り立てをしたことが問題になりました。
不動産担保をとる場合の利率は、銀行の住宅ローンは1%から7%くらい、これに対して、貸金業者(信販会社を含む)は、9%から27%くらいまでだと思います。
住宅ローンを利用する場合、どこにするのか、どういう返済方法がいいのかというのも、破綻により住宅を手放すことにならないようにするための重要なポイントですが、これは後日に譲るとして、今回は、いわゆる多目的ローンとして不動産担保で借り入れをした場合に限って、説明します。
このローンの問題点は次にあります。
1 支払金額が多すぎる。
  以前の40.004%の時代から考えれば、この利率は低いようにも思えますが、借入金額が数百万円、低い金利であれば一千万円を超える金額を借り入れるわけですから、月額15万円多いと20万円程度支払わないとならない場合が結構見られます。
  住宅ローンがない場合であっても、生活費の他10万円以上工面できる人など、それこそ裕福層しかないわけで、普通であれば生活費を大幅に削らなければならない大変苦しい生活を余儀なくされ、病気、事故何らかのアクシデントがあれば簡単に支払いが滞ります。

2 支払原資のあてがなく、完済の見通しがない金額を貸付ける
  上記と重複するのですが、借り入れから1年は続けられても、ちょっとしたアクシデントで返済ができなくなる返済プランで借り入れています。最初から完済ができないのに借りています。
  アメリカでは、返済の見通しが明らかにないのに不動産担保を取って金を貸すことは、不動産奪取を目的にした違法貸し付けとされます。

3 余裕不動産ではなく、たとえば農家の農地、自宅を担保にいれるため、借り入れた本人だけではなく、一家が路頭に迷う。
  これが実際には大問題となります。
  都会であれば、自宅をあきらめて、公営住宅に移るという手段も全くないわけではないのですが、田舎の場合に、まして、農業など単一産業しかない場合に生産手段をとられたり、近所に公営住宅などない地域事情で自宅から出て行けということになると、結局、一家での転居を余儀なくされます。
  大幅に不良債権をかかえる農協がいいとはいいませんが(改善の余地はあると思います。)、農協が大規模農業に不可欠なまとまった融資を多少のこげつきを見逃しながら、共存共栄を図っていたのとはちょっと違います。

この不動産担保融資は、外資のアイク(現ディック)が大々的にやり、その後アイフルがやっているというわけです。
ただ、武富士、プロミスはあまりやっていないと思います。

 そして、最大の問題点は、仮に弁護士が入って、任意整理の交渉をしても、不動産担保があるから、業者がかなり強気で、「まず、不動産を売れ(不動産を売れば、全額回収できたりする。)」と強行に出てくることです(さすがに、競売申し立てをしたということは聞きませんが。)。
 不動産担保ローンの強硬な取り立てが社会問題化するのは、こういう背景があります。

 私が、常々思うのは、産業構造が固定化していて、容易に転職が図れない地方経済の健全化のためには、貸金業者による社会的影響は無視できないはずだと思うことです。労働者の流出については、甘く考えてはならないことだと思うのですが。
  

投稿者 : admin 投稿日時: 2005-10-30 (4067 ヒット)
10月28日に東京地裁で相隣関係で、23区内で、境界から1メートル未満のところに建てられた、窓について合成樹脂で目隠しをするように命じた判決がでたとの記事がありました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051029-00000022-san-soci&kz=soci・・・もうアクセスできなくなりました。関係者不明のため、判決文の引用はありません。あしからず。

この判決の問題点は、2点あります。
まず第一に、少なくとも23区内では、土地が狭いため境界から1メートルを設けていない窓であっても目隠しをしなくていい慣習が確立しているのではないかということ、第二に、これでは目隠しを強いられた建物の部屋に窓がなくなるのと同様なことになり、通気の点で、建築基準法の基準を満たさなくなり、隣家のプライバシーを守る以上に、問題の建物に過度の負担を強いるのではないかということです。

 建築基準法上、居室とする場合には通風、採光等に一定の条件を設けており、この基準を満たさないと納戸となり居室にはできないという制限があります(つまり建築法制として、国民の居住する居室には居室としての最低レベルを維持するよう規定がある。)。おそらく、この判決の建物の二階の居室は、居室としての建築基準法上の最低限の基準を満たさなくなるのではないかと思われます。
 23区内はもともと確保できる土地が狭いので、敷地いっぱいに建物が建築されることが多く、この判決がまかりとおれば、通風採光等の条件を満たさず居室として使えない建物が数多く生じてしまう弊害が考えられます。
 また、それを避けるために、都内で境界から1メートル下がって建物を建てたら、うなぎの寝床のような建物しか建てられず、庶民の都内でマイホームの希望がますます現実的に遠のいてしまいます。
注・都心(23区内)の住宅の基礎知識
 都心の住宅にはほとんど庭がありません。土地いっぱいに建物を建てます。更に都心では道路の間口が7メートルあれば、再開発・・・いわゆるミニ開発で2戸建て売りが建てられる現状にあります(こういう戸建てだけが庶民に手が届く価格、5000万円〜6000万円程度の物件なのです。)。道路接面が1面の宅地が圧倒的ですので、こういう小さな土地で両隣の境界から1メートルも後退したら建つのは本当に「ウサギ小屋」しかありません。
 なお、江戸時代から東京では、少なくとも庶民が暮らす地域では、民法234条、235条が遵守されていたとは思えません(昔は長屋が多かったことを考慮しても)。それゆえ、民法制定当時から、236条で慣習が優先という規定が設けられたのだと思います。

 どう考えても、社会経済上の弊害が大きくなり、現実的ではないのですが。

なお、この民法234条(境界から50センチ離して建物を建てなければならないという規定)、235条(境界から1メートル未満の窓、縁側を設ける場合の目隠しを設置する義務を定めた規定)には、236条「異なる慣習があればそれに従う」という規定があります。
 住宅が密集する都内では、236条を根拠に50センチ未満の建物が数多く建てられていますし(50センチとは人が通れる広さ。隣家と人が通れないほどの隙間しかない建物の方が圧倒的に多い。)、境界から1メートル未満の窓など無数にあります。
 23区内では、236条が優先する、すなわち23区内では1メートル未満であっても目隠しをしないでよい慣習が確立しているという運用が実際上も多いはずです。というか、狭い宅地しか確保できない23区内で、戸建てで隣家境界と1メートルも間を空けて建物を建てることそのものが、無理なのです。また、そのために窓に目隠しを設けていては、必要な居室数は確保できません。

 この裁判のケースには、特殊な事情(たとえば、がらっとあけたら隣の家の窓があるとか。)があったかもしれませんが、高裁の判断が待たれます。

投稿者 : admin 投稿日時: 2005-10-23 (947 ヒット)
 裁判委員制度の実施に向けて、刑事訴訟法の第一弾の改正が近々なされます。
 弁護士にとっては、リハーサルのような裁判前の制度を経て、本番である裁判員が立会する法廷に臨むことになるようです。今までの刑事事件の手続きとは、完全に別物と考えなければならないようです。
 弁護士にとっては、誰が判断するのかは非常に重要なことです。その人に、わかってもらうように法廷活動をしなければならないので。アメリカの陪審員制度のもと、弁護士らが陪審員にやたらアピールするのも、「わかってもらう」必要があるからです。
 しかし、いやー、従前の制度よりある意味、縛りが厳しい裁判前の制度があるとなると、なかなか難問そうです。新制度になると弁護士の時間的拘束が従来の裁判手続き以上になりそうですし、訴訟方針が立てにくそうです(訴訟方針の下に、一貫した弁護士活動をする)。
 早めに何件か経験し、新制度に慣れるのが、先決のようです。

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