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日常問題 : 桐の木 と 報道の自由 と 国民主権
投稿者 : admin 投稿日時: 2014-10-16 (1160 ヒット)
ずいぶん前に読んだ文章に「昔の人は、女の子が生まれると家に桐の木を植え、その子が大きくなったら伐採して嫁入り道具にする桐ダンスの材料にした。10年以上も先のことを考え、誕生を祝ったのだ」という話がありました。
 桐の大木が家のそばに残っているのは、複数回、目にしたことがあります。
 職場の近くの長屋の隣にも(再開発地域の中にある)、桐の大木があり、結構な勢いで種を飛ばし、周りに何本か桐の若木が生えている場所があります。
 桐の大木は途中までは、枝打ちがなされているので、少なくとも数十年はきちんと管理されていたものと思われますが、桐ダンスになることなくそのまま大木に成長した桐の木を見ながら、このうちの女の子はどうなったのか等、想像が尽きません。桐の大木が、再開発後も残ればいいのですが。

 さて、お隣の韓国で、日本の新聞の女性大統領のプライベートに言及した記事が名誉棄損だと、記者が刑事訴追されました。
これにより、日韓首脳会談の見通しは、全く立たなくなったということになりますが、韓国にとっては、慰安婦問題未解決を理由に会談しないと言っているわけですから、日本側からの働きかけがなくなった分、渡りに船ということでしょうか(私個人としては、慰安婦問題は、これ以上の虚偽の流布を防止するためにも、謝罪も賠償もすべきでないと思います)。

 韓国政府は、ある新聞社にはお中元を配り、この新聞社は韓国政府に非迎合的(記事的には、反省がないとのコメントでしたか)との判断で刑事訴追ですから、一体何を考えているのかと言いたくなりますが、その前に、一体韓国とはどういう国か、この国内情勢を理解しなければならないような気もします。
 インターネットが発達した今日では、韓国大統領が初の女性大統領で難しい扱いを受けており、国鉄民営化のような政治判断をすると韓国女優から「そんなに金が必要なら・・・・」と女性特有の誹謗をされる、ワシントン訪問をすると韓国系米国人の若い女性にセクハラを行った男性随行者の騒ぎが生じるなど(随行者にしてみたら国内と同じノリで対応した程度の認識だったのかも知れません。)など、いろいろ大変な情報は入ってきます。それに加え、問題の記事が、沈没事故で韓国国会が長期間空転する中、韓国政府としては絶対に出したくない事故直後の記事であった点も問題だったのでしょう。韓国政府として、細心の注意を払いたい時期に、一番ナーバスな記事が出てしまったところを問題視するという事でしょうか。

 しかし、日本国内にいれば、そんなことは全く関係がありませんし全く関心が払われません。ゴシップ記事に近い内容の記事とも言えますが、だからと言って、韓国女優の発言のような意味合いがあったのであればはともかく、この程度で新聞記者を訴追する必要はないし、韓国政府が公の場で真偽を明白にしたのですから、それで終わる話です。また、情報源の韓国の新聞の新聞記者も同様に記事にしているのにおとがめなしというのも平等ではありません。これでは恣意的な政治力が介在しているという批判になります。

 過去に、韓国の若い人に、「ちょっと話は変わるけど・・・・」と雑談的に、お金を借りて返せなかったら(日本では)逮捕されないのか と聞かれたことがあります。
 外国人の相談は、基本的に日本の法律の立法趣旨(なぜそんな法律があるのか、根本的な素地がないため、いわゆる1条に記載されている制定目的の説明しなければ理解が得られないため)から説明し、条文の解説をするのですが、さすがに「韓国では、お金が返せなければ逮捕されるから(質問をした)」と真面目な顔をして言われたので、「間違いではないか。日本ではお金を返せない程度では逮捕されない」と回答しました。
 実はこの回答の微妙なところは、取り込み詐欺等、詐欺との絡みで、未返済も刑事事件になり得るところです。
この若者の心配が、詐欺での逮捕が簡単に立件されるのではないかとの懸念であれば、韓国ほどではないというのが、より詳細な正しい回答となります。

 国境を超えて空き巣犯、スリ、架空投資話等、いろいろな犯罪、犯罪者が日本に入ってきますが、同じ経済犯でも、空き巣、スリ、窃盗は、比較的、世界共通の客観性がありますが、詐欺については、条文、裁判例を確認しなければ自信を持って回答できません。名誉棄損も同様です。
 刑事訴追は、その国の政治色が反映されますが、インターネットが発達した今日であっても、日本の読者に向かっての情報発信に、韓国国内事情を意識せよと言っても無理があり、この程度で名誉棄損で立件するのは政治的と言われても仕方ないと思います。
 韓国当局は、日本大使館前の日本政府に対する抗議運動に対して何もしないのですから。

 相手を知ることは相互理解を図る上で必要不可欠なことですが、日本も韓国も、国民主権、民主主義を掲げる以上、正しい民意の反映のための必要不可欠のツールとして、表現の自由、報道の自由は確保しなければならず、それは右寄り報道でも左寄り報道でも、中道でも同様です。
 様々な情報、様々な議論があってこそ、よりよい判断が生まれ、愚衆政治の抑止となるわけです。
 東日本大震災時の民主党の首相などは、今回の韓国大統領など比較にならない位ひどい言われようでしたが、もちろん、日本では、これが名誉棄損になることは民事事件としてもありませんでした。歴代首相には、今回と同様の場面でゴルフをやっていたことが暴露され、退任した人もいます(だから単純にプライベートとも言い切れない。)。
 報道の自由(憲法21条)に関しては、特に公人に関しては寛容である必要があります。これは、憲法21条知る権利の確保につながるとともに、国民主権(1条)、民主主義(憲法前文)の実効化に不可欠なため、必ず確保しなければなりません。

 韓国国内の場合には、与野党が日本以上に拮抗し、反対意見(「なんでも反対」なのでは との疑問もありますが)がすぐに出てくるのが救いですが、本件の解決として出国禁止措置を解除して出国させ、裁判の停止をさせるのが、傷を広げない一番の解決策だと思います。
 

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