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時事問題 : 相互理解と理解を深める働きかけと共通認識について
投稿者 : admin 投稿日時: 2019-12-14 (206 ヒット)
この小話でも、話題にした、ペシャワール会の医師中村氏が亡くなったことについては、メディアでも、様々な報道がされています。

襲撃犯は、水利権の問題にからめて、目障りだったとか。
しかし、水利権は、関係ないでしょう。
この川の下流付近にある、モヘンジョダロ発掘隊の塩害レポートを読めば、はっきりわかるのですが、現在モヘンジョダロでは地下水位の急上昇により、遺跡が痛む被害が出ているとのことです。
レポートでは、数メートルも地下水位が上昇したが、その原因は、最近の上流での灌漑事業にあるとのことでした。(なお、私も、過去の偉大な遺跡が塩害により破壊されるより、今生きている人々が干ばつに苦しまない生活を送ることが重要と考えます。)。
つまり、モヘンジョダロのレポートは、上流の灌漑事業が、下流の、川から離れたところでも地下水位の上昇を招いたと言っているわけです。
地下水位の上昇は、すなわち、どの植物でも、一定の地下に達すれば水が得られることを意味し、植物の生存限界の改良を示すわけです。
灌漑事業が下流の平地の広汎な地下水位の上昇を引き起こすのであれば、それは、水を取られたのではなく、水を、地下水脈を通じて、当該地域に万遍なく行き渡らせたと同義なわけで、水取りの反対の結果を生んでいます。長い目で見れば、当該地域の土地の肥沃化につながります。
 つまり、灌漑用水を作ったことにより、「水を取られた」と思い込むのは全くナンセンスということになり、間違いというわけです。

 日本では、最近の法改正により、建物建築の際に地盤調査が義務づけられました。行政に集まるデータを詳細に時間、場所を区別して総合分析すれば、これに関連して地下水位も、なかなか面白いデータ分析ができると個人的には思います。
 地下水脈の流れは、地上に出ている川の流れとは一致しませんが、乾燥地域では、水を万遍なく行き渡らせたかどうかは(今回は取水が目的ではなく、大地に水を行き渡らせることが主眼で、地域全体でみれば、水循環の阻害はおそらく発生していないと思われます。逆に、乾燥地域で大量の地下水の揚水をすれば、いずれ地域全体の地下水資源が枯渇し、最終的にはおそらく砂漠化を促進させるわけですから、地下水脈、地下水位は目に見えないからと言って、決して侮れるものではありません。)、地下浸透に直結し、地下水位の上昇につながります。
 灌漑によって、広汎な地域に水が行き渡ることにより、最終的には、広汎な地下水脈の構築という結論になるのであれば、それは、乾燥地域の水利権を越える効用があるわけです。これに沿う、科学データ、文献はないのでしょうか。

 日本では当たり前に考える、地下水脈の話が、乾燥地域でわかりにくかったとすれば、これは、ある意味、地下水脈の重要性、必要性を説かなかった、我々の限界から来る悲劇なのかも知れません。

 登山家はそこに山があるから登る と言いますが、たまたまアフガニスタンの土地に出会い、たまたま、干ばつが発生し、干ばつを解消するためにその土地で奮闘したのに、地域住民に事業の意味を理解されず、同国民による銃弾に倒れた医師に、謹んでお悔やみ申し上げるとともに、モヘンジョダロ発掘隊のレポートから明白な、地下水位の上昇という、地域全体に与える最大の功績をもたらした実績に対して、改めて、賞賛を送りたいと思います。

 世界的には温暖化、すなわち二酸化炭素増加による宇宙への大気熱の放散作用阻害が叫ばれていますが、正直、あまりに迂遠かつ壮大すぎて実感が沸かず、何を言っているのやらと思う状態ではあります。
 地球史上、二酸化炭素が多かった時期に温度がそのまま上がり続けたという説は寡聞にして知りません(その後植物により大気中の二酸化炭素比率が下がり、酸素比率があがったとされている)、温暖化解決策としては、大地の保水作用・保水率の向上による地表面からの熱放散の抑制や、海洋植物の増加による二酸化炭素吸収の方が、まだすんなり理解できます。

 住む地域が違うと、当たり前の共通認識がないため、相互理解を図るのに、大変苦労するものですが、モヘンジョダロのレポート自体は広く知れていることですので、あとは、灌漑事業の意義を広く知らしめることが不足し、相互理解がなされないまま、今回の銃撃になったということでしょうか。

 改めて、自分達のしている意味、意義を広報して、相互理解、若しくは相互共通認識の基盤を構築することの重要性を感じさせられます。

 日本ではわずか10年、20年程度で、この灌漑事業のように地下水位が数メートルも上昇することはないので、それをもたらした灌漑事業の功績に、改めて賞賛を送り、ご冥福をお祈りしたいと思います。

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