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日常問題 : やさしい破産の話・・税収の倍近い借金をして歳出を増額する政府を考える。その1
投稿者 : admin 投稿日時: 2010-01-17 (1030 ヒット)
この国には、破産法という法律があります。戦後に新設された法律です。
それまでは破産制度はなく、任侠映画などに出てくる「親の借金は、子どもが全部背負う」がそのまま、まかり通っていた何とも言えない時代だったのです。
貨幣経済が発達せず、自給自足ができていた頃は、経済的破綻は社会的破綻であっても、生活破綻ではなく、自給自足を続ければ、なんとか生活が可能だったかも知れません。
しかし、全国津々浦々経済が発達し自給自足ができなくなれば、経済的破綻は見過ごせない状況になったりします。
その意味で、破産制度は、経済的な破綻がその人や家族の人生の破綻ではなく、やり直しのチャンスを与えようという制度であり、経済社会が発達した現代においては、今や、なくてはならない制度となっています。
経済的破綻は、人生の破綻ではないというのは、それなりに希望のある話です。

さて、そのように世の中になじんでいる破産法ですが、どんな場合でも破産をして借金が棒引きできるわけではありません(破産法252条)。
1 破産申し立てにあたり財産を隠した場合
2 破産申し立てを遅らせたり、一部の債権者を優遇するために、好き放題して借金を増やした場合(簡単に書いています。悪しからず)
3 うそをついて経済的信用があると騙して借りた場合
4 破産手続きに協力しない場合
5 浪費賭博その他の射幸行為をして、著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担した場合
これら5つの場合には、破産しても原則として免責が認められません。原則として、借金を一生支払い続けていかなければならないことになります(但し、裁量免責によりかなりの範囲で救済されます)。

ところで、免責不許可が問題になるのは、どういうケースを想定しますか。
こういうケースを考えましょう。
年収800万円あったサラリーマンのAさんは、2年前の景気の急激な悪化のため、年収が半分の400万円になりました。ところが、Aさんは、長年年収800万円の暮らしになれていたため、ジムがよいや、年に数度行っていた海外旅行をやめるなどして、支出を減らしても年間700万円の支出は欠かせません。しかも、持っていた高級車が壊れてしまい、修理に100万円かかってしまいますが、仕事に使うため修理する必要がありました。そのため、Aさんは、400万円借金することにしました。しかし、給与以外みるべき資産もなく、がんばって働きましたが、元本はおろか、全ての利息を返すこともままならず、2年後に借金は800万円にふくれあがり、支払い不能になりました。

この場合、免責で問題になるのは、400万円を借りた点です。
年収が400万円に下がった時点で、返済できるあてがないのですから、400万円の生活水準に強制的にでも落とさなければ、収入に比して過大な借入をしたと認定されてしまいます。

早い話が、計画性なく、返せるあてもないのに、ぽんぽん借入を増やし、高い生活水準を維持するのは、破産する場合にでも、問題になるということです。
もちろん、収入400万円のサラリーマンに、400万円貸す無謀な金融機関もあまりなく、これは個人ではあまり想定できないケースです。

ちなみに、ご自分の借入金額が不安な方は、イエローゾーンの目安として、昔の住宅金融公庫の新規融資貸付基準「毎月の返済額が月の収入の25%を上回らないこと」というルールを参考にして下さい。住宅金融公庫では、年収対借入総額ではなく、毎月の返済額を基準に貸し付けをしていました。
長年個人向けに貸し付けてきた実績と、ステップアップ返済等返済プラン設計の失敗・赤字をも経験した、住宅金融公庫が、行き着いた基準ともいうべきルールですので、論理的根拠はさておき、傾聴に値するルールだと思います。
あなたの借入の毎月の返済額(元利込み)が25%を超えるようであれば、返済が負担になってきているはずですから、支出を切り詰め、慎重に生活する必要があります。

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