中国軍レーダー照射事件に思う

投稿日時 2013-02-07 | カテゴリ: 時事問題

さて、中国軍の暴走が止まりません。今度は、レーダー照射、空母の頻繁な太平洋進出。自国の軍事力の誇示に他ならないようですが、ちょっと気になるのは、今の中国国内のテレビメディアの番組編成です。
聞くところによれば、街中の人々は日本若しくは日本人に対して極端に過激な行動をとる人はいないようですが、テレビ番組が抗日運動の戦争物一色とのことです。
過去の事実として実在した国と国との対立であり、これがおかしいと批判するつもりはありませんが、これだけ過激に抗日のプロパガンダをすることで、現実が見えにくい人々、すなわち携帯電話もインターネットの手段も持たない生活層の人々が、どういう行動にでるのかを、メディア関係者、中国政府は予測しているのか、かなり疑問です。
 中国共産党の礼賛の効果だけが発生すればいいですが、簡単に武力で正義を奪還できるとか、過去の中国人たちは日本人に対して武力で勝利を勝ち取ったのだから、自分たちも同じようにしたいとか、あるいは、自分たちもロシア製ではあるが空母も持てるようになったのだから、早く実践で使ってみたいとか、そういう安易な考えを持つ人が、増えることまで、予測しているのでしょうか。一般に、軍人を志す者には、どちらかと言えば生活が豊かでない層も多いと言われますが、そういう人あるいは中国共産党一色で世界のメディアは全て悪で間違っているという考えの純朴な人は、結構、このような発想を持つような気がするので、心配です。 こういう軍関係者に限って、あとさきが考えられず、空母の維持費にいくらかかるとか、ミサイル1発でどれだけ立派な家が建つのかとか、何かを破壊したらいくらの修復費がかかるのか等、リアルな費用対効果が理解できない人が多いのです。
 日本また日本人は、第二次世界大戦で、アジア経済圏を武力で築き上げようとして、こっぴどい目に遭いました。歴史的事実として戦費拡大による国庫のひっ迫、破たんも身に染みています。だから、費用対効果の本当の意味、軍隊のシビリアンコントロール(憲法の「文民でなければならない」のあの一文です。)の重要性をよく理解しています。
 今回の件は、軍の暴走とのことですが、自らの行動の効果を考えない軍の暴走、戦争番組の頻繁な放映によりそれを許す世論の後押しは、中国にとっても、日本にとっても、望ましいことではありません。武力の容認は、結局、多民族国家で貧富の差が激しい中国では、内乱の誘発材料ともなりかねません。せっかく検閲を徹底しているのであれば、お上の顔色しか伺えない安直な現場の党幹部に判断を委ねるのではなく、党を挙げて、長期的に建設的な視点で、長い目で見た思想統制(中国だって目指すべきは武力での実現ではないはずです。)、世論(世界で平和的と言われる枠組みの中での実践ことが至上であること)の醸造の有用な効果を狙った政策の実施をして欲しいものです。

 ちなみに、私も、東シナ海にあってその先には当時後進国であった日本しかない海域の小さな島など、明が領土宣言するはずがないと考えます。だから誰のものでもない島を国際法に基づき領有宣言して、国土に取り入れたという主張の方が、客観的に見れば、理にかなっていると思います。
 


 北京の大気汚染も、「霧のロンドン」(シャーロックホームズの世界を想像してください)という言葉のとおり、石炭を多量に使う工業都市では、いつか通った道(問題)であります。日本だって、光化学スモッグに苦しんだ時期もありました。しかも、中国はあの人口です。歴史的に見れば、「霧の北京」は中国がそういう経済過程にあることの象徴でしょうが、これは、黄砂となって、日本に降り注ぎますから、他人事ではありません。大気汚染の防止策については、数十年前から取り組み実績も上げてきた国が近くにあるのです。中国の場合には、試行錯誤する必要がありません。ぜひとも、参考にして、大気汚染を抑止してほしいものです。

 どちらも、中国がきちんとしてくれないと、こちらに火の粉が降りかかるという意味で、全く他人事ではありません。中国共産党には、いい意味での文民統制・軍のシビリアンコントロールの実践と、大気汚染対策の早期実施による「霧の北京」からの脱却を期待したいと思います。




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