サイを投げさせない

投稿日時 2022-03-17 | カテゴリ: 時事問題

ウクライナ情勢による死者は、一日の世界のコロナ死者に匹敵する死者を出したようで、コロナより関心が集まりつつあります。
 
 アメリカ議会のウクライナ大統領の演説を見て、第一次世界大戦の前夜とはこういうものかと思いを馳せました。
 思えば、セルビアの青年がオーストリアの皇太子夫妻を暗殺(射殺でしたか)したことに端を発しましたが、第1世界大戦の前後で、スペイン風邪、すなわちインフルエンザの大流行があり、同時進行でばたばたと死者が増えて行く中、戦死者が多く出たのは、フランス、ドイツ、ロシア(ウクライナ含む)、オーストリアで、紛争発生国以外の死者が大半となりました。

軍の文民統制の下、軍人は決定があれば動くしかなく、戦争は政治家が「サイを投げ」たら止まらない。
政治家は、「賽は投げられた(サイを投げたら止まらない)」ことを肝に銘じなければならないと思います。

世の中には、人を煽るのが大変上手な方がいて、それをマネージメントする専業の方もいるでしょう。しかし、その扇動に動かされるのがいいのかどうか、今一度、原点に立ち返り、自らの立ち位置を再確認しなければなりません。

サイを投げない、すなわち、2国間の紛争を多国間の紛争に拡大させない枠組みの中で、この問題をうまく解決する課題が今、世界の政治家に突きつけられ、その真骨頂が問われています。

それは、決して無策の下、やみくもに武器(現在世界中から集まるウクライナへの支援金が全部武器購入に充てられるとすれば、それは武器供与と同義です)を供給して死者を増やすことではありませんし、第三国のトップがウクライナを訪問して運悪く亡くなってしまい、やむにやまれず参戦する羽目になることでもありません。

そもそも、私は戦争に勝つのが真の勝利ではないと考えます。

国という枠組みであれば、真の勝利とは、国民全体の生活水準、幸福度が上がってこその勝利ですし、ドライな言い方をすれば、生き残ってこそ勝ちという場面も多いはずです。
少なくとも、日本の戦後教育ではそのような流れに行き着きます。

ロシアの国土面積の多くを占める、シベリアや極東地域の人口の約8割はソビエト連邦時代にウクライナから来た移民という話ですし、北方領土も同様のようです。ウクライナ人はロシアの半分以上の国土や北方領土の中では絶対的多数の民族であり、それもある意味勝者なわけです。

したがって、夜間に外出したらテロと見なすとし、誰彼構わず射殺する必要はないし、また、無理に一緒に戦う協力者を見つける必要もありません。
70数年前「国民総戦力」を掲げたどこかの国を彷彿させるような、成年男性を原則全員戦闘要員とすることも、勝算ありきの話です(もっとも世界的に孤立しているのは、逆のようですが。)。焼野原からの復興は何十年もかかります。

今回は旧ユーゴスラビアで起きた特定の民族や宗教を、非道な形で弾圧、殺害した事件(域外でNATO介入がなされた件)とは全く異なります。

日本でもコロナ死者数が東日本大震災の死者数を軽く超えてしまい、しかも長期に及んでいるので、現実問題として社会不安が煽られやすい事態に、世界のどの国も直面していますし、コロナが収まっても、それは一定期間継続します。

サイを投げさせない枠組みの中で、すなわち2国間の問題に留まっている中で、問題をうまく解決する努力を忘れてはならないと思います。

個人的には、停戦条件としてはウクライナ中立化の下(全域をゲリラの巣窟にさせない)、ウクライナ上空の飛行禁止区域の設定を合意し、更にはウクライナ、ロシアには、温暖化による永久凍土が溶けた大地の農地化、及びその改良支援をテコに、国力の底上げ支援と、中央集権が徹底している国だからこそ起きてしまう、集中した富の再配分の政策実施だと思います(第一次大戦後のロシア革命でその再配分が共産主義という形で実現しましたが、もちろん、それを意図するものではなく、北欧のように税率を上げ、また累進課税の導入により再配分を実現することを想定します)。

どのみち、今後の地球全体の平均気温の上昇は避けられず、食糧問題を解決するのは、現在の農地での生産能力の低下をカバーするために、ウクライナやロシアなども含まれる高緯度地域に広大に出現し始めている溶け始めた永久凍土を農地化することは(客土により広域で地盤改良を施して耕地化する事業を言っています。)、いずれ必須になりますので、これも解決すべき課題ではあります。

私も、一日も早い、また誰にとってもWin-Winとなるような戦争の終結を希望します。




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