メインバンクの選び方

投稿日時 2005-08-23 | カテゴリ: 日常問題

何か事業を起こすに当たって、銀行から資金を借り入れる、あるいは事業拡大のために、どうしても資金が必要となり、銀行から借り入れるということは、よくある話です。
一部、直接融資、すなわち、社債の発行や、増資という形で資金調達をする方法がとられますが、中小企業の場合は、やはり、銀行融資が多いはずです。
メインバンクは事業を継続する上で重要です。是非ともいい銀行を選んで下さい。
いいメインバンクの条件としては
1 的確な金融アドバイスができる。・・毎月集金に来るだけだったら、誰でもできます。最低限、税法 、金利その他金融関係のアドバイスできる担当がいる銀行が望ましいでしょう。
2 融資をスムーズにやってくれる。・・逆に言えば、多角的な視点で的確な会社評価ができる銀行がい いです。キャッシュフローだけではなく、社員の士気、将来性などを評価できる金融機関がいいです。
3 与信管理をきちんとしている の3つだと思います。

特に3は、日頃気にしなくても会社が立ち行かなくなったとき重要になりますから、要注意です。

この前の民法改正により、限度額なく保証債務を負う保証人「根保証」について、制限が設けられましたが、金融機関は、逆にそれ根保証以外の保証人には、今まで以上に請求を厳しくする傾向にあります。

ある信用金庫のA支店では、東京都の低金利融資を扱っており、ベンチャー会社に対して、役員2名を連帯保証人にすることを条件に融資しましたが、赤字により会社を閉鎖しました。2名はいずれも20代、30代でした。この信金は「息子をブラックリストに載せたくなければ、借りた金を代わりに払ったらどうか」と親に請求し、田舎の親に支払わせました。親に電話で催促して支払わせるのは、最近は消費者金融でもやりません。モラルを疑います。
支店の体質なのか、この信金の体質なのかは不明ですが、支払義務のない親を半ば脅すように資金回収を図るような銀行は、もともと与信管理がずさんで、適正な銀行業務がやれていない可能性があります。

実際この信用金庫のA支店は、そうだったようです。別のケースでそうでした。
普通、銀行では、債権回収のため、第一に十分な会社財産の物的担保を取り、その上で代表者を連帯保証人にします。会社財産に取引額以上の抵当権を設定するのは銀行の鉄則みたいなものです。
ところが、この信金は、会社不動産に取引額を4000万円あまり下回る根抵当権の設定しかしませんでした。6000万円以上担保価値に余力がある会社不動産であったのに、です。
 取引金額が増えた場合に、追加担保を要求するのが一般的ですが、この信金は30年あまり会社不動産に対する根抵当権の被担保債権額を見直さなかったのが理由のようです。
そのため、この会社が破産したとき、会社不動産の売却により他の金融機関は抵当権(別除権行使)で全額回収でき、それでも売却代金残6000万円が破産財団に組み入れられたのに、この信金は抵当権ではオーバーする4000万円あまりの貸付を回収できず、もちろん、一般配当で100%配当などありませんから、未回収債権が残ってしまいました。

これはこの信金の、鉄則をおろそかにした大きなミスと言えますが、事はそれだけで終わりません。彼らは未回収分を回収するため、連帯保証人・代表者に裁判を起こしますから。
このケースの場合には代表者も破産したので、この信金は、3年以上前に亡くなった前代表者の、相続人に対して裁判を起こしてきました。
相続人は、A支店からは前代表者の保証の名義変更をすると言われていたし、その後の変更契約に一切合意しておらず、今まで一度も通知がなかったので、会社が破産し信金から通知があるまで、連帯保証債務が残っているとは知りませんでした。大変な事態となってしまいました。

メインバンクの選択を間違えなければ、銀行から一般配当未回収分を、連帯保証人の相続人に請求するなどの、ばかなことをされません。

会社の倒産は、すぐに起こるものではありませんが、一生に限りがあるように、ほぼ全ての会社は倒産という会社の死が必ず訪れるのです。億単位の資金を借りて、長い年月で返済していくしかない場合には、死後に相続人が引き継ぐことも十分あり得るのです。
取引の中で、度が過ぎる催促があったり、そういう噂を聞いたりしたら、取引をやめた方が賢明です。
いいメインバンクを探して下さい。

会社の連帯保証人になっている方の中には、自分の連帯保証は自分が社長を辞めれば、あるいは死ねばおしまいと思われている方はいませんか。
間違いです。実際、保証人になったら、社長を退いて13年経っても(保証の場合)、亡くなって3年以上経過しても(保証、根保証)、貸付の返済ができなくなったら、元社長、相続人に請求があります。
・・・これは、最近では、ある信用金庫のA支店に限ったことではありませんので注意して下さい。




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