巨悪を眠らせない

投稿日時 2010-10-19 | カテゴリ: 時事問題

使い古された言葉ですね。私が、修習生だった16年以上前に、検察講義で「検察組織の意義は、巨悪は眠らせないところにある」と第一声の話がありました。

今回の郵便事業をめぐる無罪事件で特捜部の印象は悪くなった上、最高検は、改ざん事件を大阪地検特捜部全体の責任とするようです。
特捜部長、副部長が逮捕起訴されたら、現在のポストは別の人が就任しているとしても、ほとんど死に体の数年を歩みそうな感じですね(もちろん、地道な調査は、数年掛けてのことですから、仕事は減らないのでしょうが)。

まー、いろんな人がいろんなことを言っているわけで、私がコメントする必要もありませんが、敢えてコメントするならば、「『巨悪を眠らせない』を忘れずに」ということでしょうか。
我が国の起訴事件の有罪率は今でも95%以上を誇っており、無罪を立件したことに、世間からの目も冷たいでしょう。
更に、なぜ、有罪証拠でもないものに、改ざんをということもあるのでしょう。

しかし、常識的に考えて、国家公務員の係長が、自分には何の利益もないのに、独断で刑事罰ものの文書偽造をするはずがありません。また、いろんな意味で大物の方々が、下っ端の役人に直々に声掛けをするなんてことはないのです。
誰を共同正犯で持って行くのか、どこまで立件するのか、誰を対象とすれば手堅いのか、微妙な中で、正しい情報を見誤ったところはあるのでしょう。時効の壁もあったようですし。
ただ、それでも、「巨悪を眠らせない」組織があってもいいと思います。

改ざんはもちろんいけませんが、これからも、事件を丸めずに、果敢に真の主犯に挑戦していって欲しいところです。
有形無形の脅迫、圧力に屈してはいけません。また立件の形式的手堅さだけで、処理してもいけません。
自戒したいところです。




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