チャイナリスクを考える

投稿日時 2010-10-28 | カテゴリ: 時事問題

 普通の発想として、ノーベル平和賞を貰った人の、政治的思想による懲役11年の服役の事実を、改めて現実問題と認識し、この国は大変な国だと思った人は多いのではないでしょうか。
 我が国では、政治犯として内乱罪、外患誘致罪、騒乱罪(これについては、政治犯だけではありません。) という犯罪が刑法にあります。思想的な摘発がなされる場合には、これの予備罪で挙げられるとか、暴力行為等処罰に関する法律、公務執行妨害罪や別件での逮捕が想定されます。
つまり、物理的実力行使の想定が全くなく、思想の中にとどまるのであれば、処罰の対象にはなりません(憲法19条 思想の自由)。
 中国寄りの台湾の馬総統も、かなり早い時期に、民主化がされない中国との統一はないというような牽制声明を出したわけですから、大変な国という発想は、日本人だけが考えたことではありません。

 最近は、我が国の要人の中国訪問の際に孔子廟に案内する等、結構リベラルになってきたと思っていたのですが、難しかったようです。
 
 また中国で、再び反日デモも起きています。

 思えば、中国は、大量虐殺と知識階級層の大打撃を促した文化大革命が終了してわずか30年しか経過しておらず、文化大革命の頃、紅衛兵だった人達あるいはそのちょっと下の人たちの子どもの世代が、現在の若者です。種々雑多に構成される中国では(そもそも領土が広く、多民族国家の中国とひとくくりにすること自体、誤りかも知れませんが。)、こういう事態はあり得る話なのでしょう。
 今回の反日デモは、確たる理由がない、また、情報をきちんと確認せずに、国家規模でデモが起こるというのは、理解の範疇を超えるという意味で、日本人的には、文化大革命に似ていると思ってしまいます。

 文化大革命を隣国の蛮行と位置づけるのは簡単ですが、国が大きすぎて、個人が圧倒され、他の地域ではあり得ない知識階級の弾圧すら、あっさりと正当化されてしまう脅威は、それ相当の警戒心をもって対応すべきであると思います。
 
 旧満州を中心とした敗戦直後の日本人民間人の虐殺、取り残された日本人の迫害、それでも生き残った日本人の文化大革命での洗礼。
 言えばきりがないし、何度も中国国内の混乱があり、大量に中国人も亡くなっているようですから、日本人を特記するのは間違いなのかも知れません。更に、日本人にしても、一方的にやられたのではなく、空爆を含め(東京大空襲とどっちがひどかったのでしょうかね。)、敗戦前にいろいろやったのも事実です。
 が、残留日本人の話などを聞くと、時代が時代だったとしても、何とも言えない気持ちになります。

 何事も、人はとかく、やったことは忘れても、やられた方は、結構忘れられずに覚えているものという教訓ですかね、反日デモは。「仮想敵国」として日本を認知する教育をされてきたせいなのか、それとも下放に象徴される発想で、日本人は裕福という認識しているのかはわかりませんが。
 ただ、周辺国と同様に、この国には、飲み込まれたくないと切実に思います。
経済、政治について、つきあい方を工夫する必要があります。

 日常、よく思うのは、感心するほど中国人は層が厚く、蛇頭(ビザ発行緩和で今は死語となっています。15年くらい前までは密入国でかなり名をとどろかせた中華系犯罪大組織です。)から始まり、高官まで、本当に様々だということです。感触的には、今年の観光ビザ緩和により、中国人のオーバーステイはかなり増加し、その傾向が更に拡大したと思うのですが、統計上はどうなのでしょうか。
 日本人が国内で生活する中で注意することとしては、中国人の厚いネットワークです。
 先日、2009年5月に発生した板橋の資産家殺人放火事件の実行犯が、中国人を中心としたグループによる犯行だというような報道がありました。
被害者の方は、犯行グループと直接見知っていたというより、親しい中国人留学生、中国人研修生がいて、その人物から、「こういう金持ちがいる」などという情報と家の状況を入手し、犯行に及んだのでしょうか。大分県で2002年に起きた中国人留学生らによる強盗殺人事件(「恩人殺人事件」と呼ばれているもの)がそうでした。
 普通の留学生、研修生が、本国の地縁等を通じて、犯罪組織に属するグループと接触があるというのは、日本人ではあまり見られることではなく、それが強盗事件や殺人事件に発展することは、更にまれです。つきあいをしないことは必要ないし、また、できませんが、その関わり方については注意が必要です。
敗戦時逃げ延びた日本人の中国人への感謝の気持ちは、中国人にはあまり伝わっていないようです。もちろん、中国本土の中国人には、無理でしょうね。
 個人的には、今回の反日デモで、四川省大地震のあった被災地でも反日デモが起きたことが一番残念に思いました。 




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