リーガル・ハイと捕鯨について

投稿日時 2012-05-09 | カテゴリ: 時事問題

現在放映中のこのドラマ、2回ほど見ました。
とっても皮相的ですが、業界人にとっては、反面教師の部分が多々あるのではと、ギャグに笑いつつ、ちょっと真剣に見ています。
以前の放送回の、名誉棄損の損害賠償とストーカーの裁判の話は、もちろん誇張はありますが、ある意味正しい部分もあるわけで、こういうものは、ぜひ裁判官に見てほしいと思いました。
ついでに自分も見ながら、いろいろ気を付けようと思います。何に気を付けようと思ったのかは、ご想像にお任せします。
2回ほど見ただけですが、2回とも、別れ際にやりあった相手方から激励の言葉を貰うシーンがありましたが、これが、いい意味で業界的だと思いました。法曹の人数もかなり増え、連帯感はだいぶ薄れてきた、というか弁護士同士でも全く連帯感を感じない、あるいは、なんだ? という感じの人も実際増えてきましたが、それでも、相手を尊重する程度のことはあっていいのではと個人的には考えています。共通意識としての相手に対する敬意があるかどうかは、やはり全然違います。

さて、今年に入って導入したPCが東芝製で、最近、プリインストールの動画キャラ「ぱらちゃん」と「くじいらん」に癒されています。会話のセンスもあるし、何気ない一言がいいですね。
「くじいらん」は、クジラの動画キャラです。
 クジラと言えば、昔から疑問で、未だによくわからないのが、主に欧米を中心とした捕鯨禁止運動です。
 欧米の船が太平洋近海に来ていた江戸時代末期に、クジラの油をとるためだけに捕鯨をし、それが残虐だからということで、欧米では捕鯨をしなくなったというのは、話の流れとしてはよくわかります。
 しかし、日本を含むアジアでは、クジラは、それこそ骨以外はすべて食用、工業、商業用に利用されてきたわけで、現在でもクジラは、ほぼすべての部位が食べられると認識されています。その食用方法は、欧米人が、牛肉や鶏肉を食べるのと変わりないわけで、その意味で、なぜ彼らは、牛、羊、鳥は問題なく、捕鯨だけを反対するのか、よく理解できないのです。
 捕鯨反対運動をしている人々は、全員ベジタリアンかいうとそうでもなく・・・、どういう信条で捕鯨反対運動をしているのか、聞きたいところです。
海の哺乳類には知能があるからという人もいるようですが、それならば牛や羊、鳥などの陸の哺乳類、鳥類だって、同様の知性はありそうな気がするのは、私だけでしょうか。

 もともと日本では仏教の殺生禁止の教えがあり、江戸時代のころには四足の動物を食するのを禁じる思想へと緩和され、明治時代以前は、魚類(鯨を含む)、鳥類等、四足でない生き物は、簡単に言えば、おおっぴらに食べることができる、貴重なタンパク源となっていました(欧米では、また今では考えられないことですが、四足を食するかどうかが、差別とつながっていた時代もあるため、ここらへんのことを、当たり障りなく表現するのは、大変難しい。)。アジアでは、現在でも、宗教的に特定の陸の哺乳動物を食べない習慣があり、ベジタリアンは、理解できるのですが、海の哺乳類だけを差別化する理由がどこにあるのか。
 陸のシェパード(牧羊犬)は、人間の生活のために陸の哺乳類を追い回し、海のシェパード(SS)は、海の哺乳類保護のために、人間を追い回す。
SSとは、なかなかシニカルなネーミングです。

 日本人にとっては、ちょっと理解しがたいところであります。
この違和感は、たぶん、イルカ漁の撮影風景(今やシンボルとなった映画ですね。)を、山間部の羊や牛の囲い場に変えて、羊を捕獲していることが残虐だからと、一部の囲いをはずして、囲いにいた全部の羊や牛を野生に返すという活動をしている人をどう思うのかというの同じです。もともと羊をさほど食べない民族とは異なり、羊を食べる民族が、こういう動物保護活動をしている人たちを賛同するのでしょうか。
 
相互理解があれば、彼らの理屈(但し、活動資金集めという現実的なものではない。)が理解できるようになるのでしょうか。共通認識、相互理解は、これほどグローバル化した現代でも、なかなか難しいもののようです。

2014.3.31補足
国際司法裁判所 南極海での調査捕鯨禁止の決定を受けて
 さて、国際司法裁判所で南極海での調査捕鯨禁止の決定が出たそうです。今南極海でやっているのが調査ではないというのが判旨のようですが、なんというか、この追い込まれた状況での判決。
 次の南極海での再開議論は、世界食糧危機のころとなるのでしょうか。
 それまでに捕鯨の技術がすたれず、また、願わくば、南半球での決定的な食糧危機が、近い未来には来ないことを祈りたいところです。

2018.12.24 補足
 日本が完全に南極海での捕鯨をあきらめたようですが、逆にニュージーランドでは、ここ数年、湾内に大量の小型鯨が入ってきて100匹クラスの大量死をしています。単純に考えれば、以前ならば捕鯨により減っていた大型鯨が生き残るために、餌の消費量として等価となる数に見合う程度の小型鯨が自ら大量死を選んだということなのでしょうか。
 小型鯨は群れで生活するといっても、これだけ大量に集団行動するわけではないので、大量自死に近いという説に賛成です。
同じほ乳類で、ネズミなどでもそういう行動があると言われます。

 オーストラリアでもカンガルーが増えすぎると駆除するのを当たり前のようにやっているとのことですが(いわゆる害獣駆除に近いが食べるわけではないようです。)、この状況をどう釈明するのか、人間が食物連鎖の一部であり、それを止めると生態系を崩すとの認識がないことに根本的な問題があるのは理解の上ですが、こうなる前に、耳障りのいい言葉が正しいとは限らないことは自覚して欲しかったと思います。

 現状において、現存種の全滅が生じることがないよう、環境調整にして欲しいものです。




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