祝叙勲・・・萩尾望都氏の叙勲によせて

投稿日時 2012-05-20 | カテゴリ: 時事問題

いやー、いいですね。
この度、春の叙勲で、萩尾望都氏の叙勲がありました。少女マンガとしては、快挙です。この方の作品の芸術性の高さから言えば、当然といえば当然なのですが、大変うれしい限りです。強いて言えば、受賞を紹介する記事で代表作が「ポーの一族」で終わってしまうことがなんとも物悲しい。
私の時代もそうでしたが、SFと言えば、誰もが、一度はハヤカワ文庫を読んでいた時代に、時代の寵児として出てきた方のわけです。ポーだけでありません。アメリカのSFの流行を作品に投影させた、SFファンタジーの作家として考える方が正しいのではないかと考えています。
萩尾望都氏の作品は、私が大学生のころまでの出版、「残酷な神が支配する」が完結しないころまでは、全部読みました。
私が好きなのは、「11人いる」(さりげなく、人種問題等を扱いつつ、それなりに青春的な作品にまとめている秀作)とか「スターレッド」とかでしょうか。この人の作品は何を読んでも外れがなく、また、時に「イグアナの娘」(ドラマ化もありましたが)等の社会問題を扱ったマンガにもチャレンジされておられ、味わい深い作品が盛りだくさんです。(といっても、この世代の「花の・・・」では、私的には佐藤史生が一押しです。。) 簡単に言えば、この方の作品は、すべてにおいて、今読んでも古臭くなく、よく練られている作品が多いです。
ちょっと前に、どこかの評論家が、日本のSFは進んでいると論評されていましたが(眉村卓、筒井康隆氏の世代に対してだったような気がしますが。)、私自身、近所の図書館にあった、「少年少女SF全集」的なシリーズ(正式名称は忘れました。) をほぼ読破して育った世代で、「可視光線(光)の速度が、現在の半分になったらどうなるのか」というテーマで、長い生命の歴史の中で培った動体視力を前提に急に光の速度が半分になったという想定で、実態に追いつけない現状を描いた作品等を、関心をもって読んでいました。萩尾望都氏のマンガ等は、これに匹敵する面白さ、味わいの深さを、確かに、持っていました。
同様の評価としては、もうSFのジャンルを超え、ショートショートなる新たな小説のジャンルの第一人者である星新一の、ショートショートに匹敵するのでしょうか。星新一も時代の先取りをしたものが多かったですが、40年50年経った今では、「まさに今の生活そのものではないか」というものもあり、時代の先取りという意味では、いいものがあったと思っています。萩尾望都氏と同様、時代がたっても、色あせない、なかなか味わいのある作品です。
私とっての、フレキシブルな萩尾望都氏とは、「プチフラワー」に執筆のころであり、一世を風靡した、ポーの全盛期ではありません(もちろんポーも全巻読破しています。)。しかしながら、こういう方が、きちんと評価されることは、大変望ましいことです。

ところで、今日、久しぶりに美の巨人たちという美術番組を見ました。尾形光琳の関係だったのですが、日本では無名な作品の、けれども躍動感あふれる海・波を題材にした作品を紹介していて、これを見つつ、そういえば、高校生のころ、日展で初めて見て、気に入った洋画「エメラルドクリーンの夢」の作品はどうなったのか、と思いました。
日展で賞を受賞した作品でもなかったのですが、いい海の色が、空の青といいコントラストで、いい感じで描かれていました(言葉に直すとこの程度しか書けない。)。近くの海の色と言えば、青ではなく、エメラルドグリーンであり、(水中植物(藻)が繁殖している場合には、海の色は、透明でも青でもなく、エメラルドグリーンになります。) 、この作品は、エメラルドグリーンのいい海が描かれていました。最初に感動を得た作品を超える作品に出合うのは、困難でもあり、実際そうだということでしょうか。




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