最後の増税のつもりで

投稿日時 2012-08-14 | カテゴリ: 時事問題

 ようやく、消費税増税法案が通りました。
 国家公務員にしてみれば、給与10%カットをしていわば身銭を切っての覚悟を示したのに、増税が通らなければ ということでもあったでしょう。
 ただ、当然のことですが、このまま、今まで通り、歳出拡大に動くのでは、借金が増え続ける体質は絶対に改善されません。借金がなくなることはないとしても、マネーゲームのターゲットになり、円の大暴落を招くような借金体質はよくありません。
 そのためには、どうすべきか。
 歳出削減しかありません。
 歳出削減をしていかなければ、これが最後の増税にはなりません。
 そこで、今回を最後の増税にするにはどうしたらいいのかを考えたいと思います。

 今回も増税の大義名分として社会保障費の不可避的な増加に対応するための増税であるとのコメントがありました。
 社会保障制度は、「健康で文化的で最低限の生活は保障されなければならない」という憲法25条を実現するものですが、「何が最低限度の生活なのか」は時代により異なるとされます。
 とすれば、思い当たる歳出削減の要素として、削る余地があるのも社会保障費ということになるのでしょうか。一人当たり月額6万円(現実の支給額は納付期間から4万円程度が多いと思われます。)の支給もない国民年金の削減はできようはずがなく(他の年金は違う)、具体的な社会保障費の削減としては、
1 生活保護費(標準支給額はだいたい月額15万円程度でしょうか)の見直し
2 生活保護費の中の大きな割合を占める医療費の見直し
3 ワークシェアリングを見直し、最低賃金の見直すこと
4 高齢化社会に対応した生活圏のスリム化による社会インフラの効率化
5 教育の多様性の実現
6 健康保険制度の見直し
の6点でしょうか。

具体的に言えば、
1は、生活保護費の支給の効率化と支給対象者の復活を目指せる制度作り
2は、生活保護費の半分を占めると言われる多額すぎる医療費の支出を見直し、明らかに生命身体にすぐに影響しない診療科目(現行制度では、ニキビ、薄毛、脱毛でも保険診療でき、そのため生活保護でも受診可能となっている)の受診については保護費支給対象から外す等によって、適正な医療に限定して生活保護費を投入する
3は、精神疾患の回復過渡期等で完全就労足り得ない人材に対して最低賃金制度を弾力的に運用することでall or nothingの雇用を避ける。
4は、高齢化社会の中で、社会的インフラのコスト高を避けるため、車社会で郊外に広がりすぎた生活圏を再度集約化させる
5は、削減と無関係のように思えますが、若年労働者層の人材確保のためには欠かせない観点だと考えています。学歴社会ではなくなっていますが、それでも学歴の尺度で社会が動いているため、社会的適性、仕事の適性も理解・把握できないまま、適性のなさそうな仕事について四苦八苦したり、あるいは、なかなか就職できない状態が生じ、自殺率増加につながっていると考えており、結局の所、若年層が、個々人の社会的適性を反映した社会を築くことは、歳出削減に結びつくと考えます。 

弁護士は政治家ではありませんが、仕事柄、社会のひずみや問題点を、他の職業より考えさせられやすい立場にいます。
社会事象の一考察として、6つのテーマに分けて検討したいと思います。




海田麻子法律事務所にて更に多くのニュース記事をよむことができます
https://www.kaida.org

このニュース記事が掲載されているURL:
https://www.kaida.org/modules/weblog/index.php?page=article&storyid=93