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投稿者 : admin 投稿日時: 2007-08-14 (1055 ヒット)
暑い夏は、誰しもうっとおしく、時にいらいらするものです。

 数年前の、ある初夏の昼下がり、東京近郊の裁判所にて。
 裁判所の受付で、40、50代の女性が書類書きをしていて、窓口の書記官がそれに応対し、書記官は書記官の理解の中で、彼女にこう書け、ああ書けと指示していました。彼女はもともと、慣れない書類書きで、しかもわかりにくい形式なもので、説明を受けても、何を書いていいやらわからない。「ここ、どうかくのかしら」と最初は書記官に熱心に聞いていましたが、お役所対応をする書記官に、とうとう怒ってしまい、こう言いました。
「もっと、ちゃんと教えて下さい。」
「ちゃんと、説明してますが。」
「あなたには、愛が足りないのよ。もってやさしく、教えてくれたら、どうなの。」
書記官、ここで固まっていました。

 愛をもって、他人に接する。・・・なかなか、難しいことです。
 まして、立場の違う相手に通じるように接するのは。


 10年くらい前、ちょうど、かの有名な黒澤明映画監督が亡くなった際、黒澤映画をほとんどみていなかったので、黒澤世代の先生に聞いてみました。
「黒澤映画は何が一番いいですか。」
「そうだね。「生きる」だね。」
 私は、てっきり、「7人の侍」などが挙がると思っていました。

 ご存じのとおり、「生きる」は非常に地味な映画で、華々しい登場人物は出てきません。
 しかし、縦割り行政、陳情の難しさなど、今観ても社会問題としての描写は正確で、古くさくなく、最後の方で、主人公が一人、達成感を持って渋く喜ぶシーンは、大変地味で、渋すぎますが、何ともいえないものがあります。
 
 今の時代は、欧米並みの、リーダー至上主義の下、例えば、賃金一つをとってみても、リーダー及びリーダーグループと、その他一般の格差が開く傾向にあるようです。
 しかし、少なくとも、戦後日本においては、その他一般の下支えがあって、今日があったといえるのではないでしょうか。これからはともかくとして。
 
 社会の下支えをしている人に対してのサービスを考える、それは公僕たるものの一つの、あるべき理想という気がしました。

 自戒もありますが、役所仕事を「お役所仕事」にせず、人のためになる仕事をするということを考えるひとつのいい映画だと思います。

投稿者 : admin 投稿日時: 2007-02-05 (1518 ヒット)
1 最近の傾向

  戦後始まった核家族化の波は、核家族で育った子どもが親になる時期を迎えるまでになりました。核家族第2世代とでも言っておきましょう。

  さて、核家族第2世代の中には、離婚・死別により片親に育てられた子が親になっているケースがあります。
親から虐待を受けていた場合には、虐待の連鎖がみられる場合があるなどと言われますが、親が離婚していて子を持つに至った方の特徴は、
? 夫婦の間で何らかの亀裂が生じた場合に、すぐに離婚に話が流れる。離婚しやすい。
? 子がいても、子どもに対して執着が薄い。離婚後子どもとの交流が途絶える。
? 夫婦での子育てについて、知識欠如、認識欠如がある
の3点が上げられるのでしょうか。
(もちろん、これは傾向であり、全員に該当するわけではありません。)

  ?と?はリンクします。
  結婚生活がうまくいかないパターンは、すなわち、夫婦生活、日常生活のレベルにおいては、何ら問題ない場合であっても、自分の人生の中で、存在しなかった役割(男性だったら、父親にほとんど会っていないのに、父親の役割を求められる。母親だったら、父親がいない家庭で育ったのに、家庭での父の存在を受け入れ、子育てをしなければならない。)を求められ、しかし、もともと知らないから対応できないというケースです。
  あるいは、父親に育てられた娘が子どもを産んだはいいが、母親に代わる存在はなく(最近の晩婚化・高齢出産のため、育ててくれた祖母はとっくに他界しています。)、子どもに変わったことがあると思うと医者通いをするが、医者は医を売るだけで、子育ての伝授はしてくれず、子育てに支障がでるというケースもあります。

  ?は、離婚した片親との接触が自分もないから、離婚したら、そういうものだと思って、特別な理由がなくても、子どもとの接触自体をしなくなるのが典型的ケースでしょうか。


2 今までの離婚家族
  今までは、大家族の中に戻る、あるいは大家族でないにしても、母親であれば離婚したら親元に戻り、親の協力を得て、子どもを育てることができる状態にありました。
  昔は出産年齢が低く、50歳代で孫の面倒をみるのであれば、それほど大変ではなかったし、子どもも満足に成長したのかも知れません。

3 将来の見通し
  しかし、大学進学率が昔より大幅にアップし、社会にでる年齢が全体的に上がり、その分晩婚、高齢出産が増える傾向は、今後も続くと思われます。
  これは、高齢出産で生まれた子ども・孫を世話する祖母・祖父の年齢が上昇することを意味し、ますます、祖母・祖父が孫の面倒を看ることが困難になっていきます。場合によっては、親になった途端、育児と介護のダブルパンチということもあるでしょう。
  
  そのため、離婚した核家族は、代替を見つけることなく片親での家族を維持するか、あるいは、再婚を選択するかを、強く要求されることになります。
  前者の場合には、子どもはどちらかの親を知らず、またその親の役割というものを知らずに、育ちます。
  後者の場合には、その後再婚相手との実子ができようものなら家族内で微妙な関係に立たされ、また、再婚相手との間に子どもができないならできないで、頼るべき祖母が育児には全くの素人であてにならないため、本来当たり前にわかるはずの親子間で伝わるべき子育て知識の伝授がなく、出産子育ての際に大変な思いをする現実が待っています。

4 対策
  私は、こういう事態を避けるため、反面教師であれ、手本であれ、自分の親というものは如何なる人物であったのか、今後自分がどういう親になるべきかという考察の機会を付与するためにも、少なくとも、離婚後も、離婚し親権を手放した方の親との面会交渉を積極的に実現させるべきと考えます。
  片親不在で成長した子が、自分が親になってもうまく親子関係が築けるためにするために、すなわち、大げさですが未来の孫のためにも、離婚後の親子の面会交渉は積極的に行うべきだと考えます。

5 面会交渉の現実
  しかし、実際には、離婚するくらいなので、当然夫婦間にはわだかまりが残るケースの方が圧倒的で、親権・監護権を有する方が、離婚した相手の面会を拒絶するのは、日常的にみられます(憎しみ会って別れた相手にわずかでも接触したいとは考えませんね)。
  ささいな理由をつけて面会交渉を断るケースも実際には頻発しています。

  ただ、翻って考えると、これはずいぶん悲しい事態であり、今後の将来も見据えると、更にゆゆしき事態だと私は思います。

  離婚は珍しいことではなくなっている現状からすれば、今後将来確実に、面会交渉も満足なされることなく親を知らずに育つ子どもが増えるものと思われます。親を知らずに育った子どもは、「親がなくても子は育つ」と思いこみ、家庭崩壊を容易に選択し、離婚増加の悪循環を引き起こすのではないでしょうか(なお、ここでの離婚増加は、「家庭崩壊」の意味で使用しています。)

  面会交渉を実現させるには、当事者である父母はいやがっているのですから(別れるくらい嫌な相手なのだからこれは当たり前の話です。)、家庭裁判所の積極的な介入、主導が必要です。
  しかし、残念なことに、実際の裁判所は、役所の事なかれ主義よろしく、「お子さんが落ち着いてから」(最初に取り決められないものを後で実現できることは皆無!)「お子さんがおびえているから」(子どもは暗示性が高く、しょーもない親の悪口を吹き込めば少々おびえることもあるが、それだけで父親、母親に会わせる機会すら奪っていいのでしょうか。)で、何年も面会がされないことも、少なくありません。


  こういうことがありました。
  私が、妻側についた離婚事件で、相手方の夫は、親権を最初から放棄、面会も要求しないと言うのです。後でよくよく聞いたら、その人は、母子家庭に育ち、離婚後一度も父に会ったことがなかったそうです(これを聞くまでに一悶着ありましたが、ここでは触れません。)。
  その人はいいました。「俺は、親父の顔を知らない。プレゼントも貰ったことはない。けれど、母ちゃんが、親父から送られた誕生日プレゼントを俺に隠して捨てていると思って、生きてきた。」と。
  親からの愛情が薄ければ、子に与える愛情はどの程度になるのでしょうか。この人は、子どもに会わないまでもプレゼントを毎年贈るのでしょうか。プレゼントは子どもに渡されるのでしょうか。

  些細なことですが、子どもに別れた親からプレゼントが届くかどうかは、全て、周囲が子に対する配慮をどのように考えるかにかかってきます。

  何度も繰り返しますが、憎み別れた相手ですから、子どもは会わせたくないし、話しもしたくない、する話しは悪口しかないという別れた夫婦は多いのです。
  それでも、子どもに対して、相手親に対する配慮をすることは、周囲の働きかけがあって初めて実現されます。


6 お願い
  残念ながら、家庭裁判所の現在の運用は、育て親に比重を置きすぎているきらいがあり、面会実現の手段確保の役割を果たせていません。
  また、家庭裁判所は、家事だけでなく少年事件も扱うため、データの蓄積はあるはずなのですが、こと面会交渉の実現については、研究・検討がなされ積極的に対応するということを聞いたことがありません。はっきり言うと、面会を拒絶するだけの、その場しのぎの事なかれに徹していると思います(面会をノーとさせれば、面会を実現した際に発生するトラブルの可能性を完全に予防できるので、トラブルに裁判所が巻き込まれる可能性が皆無なため、裁判所にとっては、一番いい解決方法であるのも事実なのです。ただし、私の感想を言えば、数時間の面会時間の間にそういうトラブルの発生は全く考えられませんが。)。

  そこで、この記事をご覧になった方で、離婚後の面会についてご意見のある方、体験談などございましたら、当ホームページ記載のメールアドレスまで、ご意見をいただければ幸いです(なお、ご意見の際には、ウェブでの匿名公表の可否、性別、年齢、ご意見を記載下さい)。
  意見がある程度まとまった段階で、面会交渉についての掲示板を設け、皆さんと一緒に、「子どものための面会交渉のあり方」を考えみたいと思います。
  最終的には、ケース研究(家庭裁判所発行の雑誌)等への投稿も視野に入れ、裁判所の外から、面会交渉のあり方を変えて行ければと思います。・・・・まったくの草の根ですね。
  よろしくお願いします。

投稿者 : admin 投稿日時: 2007-01-07 (1202 ヒット)
平成19年になりました。

 さて、昨年は、裁判期日は27日まで入っているやら、法律相談、交渉事件は28日まで入っているやらで、年末の最後の最後まで、かなり忙しく、ばたばたしていました。

 毎年、年賀状は一言添えるのを慣例にしていましたが、今年ばかりは、そういうわけで、一言添えずに年賀状を出してしまいました。・・・・やはり、私のようにすべてを印刷にする場合には、一言添えるのがいいですね。私がもらう年賀状も、一言添え書きがある年賀状の方が印象に残ります。
 今年は省略しましたが、来年からは年賀状には一言添える、もとの形に戻そうと思います。悪しからず、ご容赦下さい。

 平成18年は、下の子どもが3歳になったこともあり、仕事の比重が増えました。充実していたのか、単に仕事に追いまくられるようになったのかは難しいところですが、今年は、仕事に追いまくられず、かつ、仕事上での成果を充実させたいというのが、新年の抱負でしょうか。
 

 今日は、7日。7草粥を作って食べつつ、年末年始の帰省疲れをとり、今年一年の鋭気を養いたいものです。

 今年もよろしくお願いします。

 

投稿者 : admin 投稿日時: 2006-11-01 (1402 ヒット)
 最近、また自殺記事が、新聞で大きく取り上げられています。

 起きた事件に対する反省点はいろいろあると思います。精神的に追いつめられた当人へのケア不足、そもそも当人を追いつめた状況を作り出したという問題。

 老若男女問わず、人と人が接触する社会では人間関係のトラブルが絶えません。いじめ防止マニュアルの他、「いじめ(災難)に遭った時にどう対応するか」、企業でいうところの危機管理マニュアルも必要ですね。

 精神的なタフさはどの時代でも要求されます。

 人はある程度の試練に揉まれてこそ、精神的に強くなっていき、また、自ら解決策を身につけます。子どもの頃に、トラブルなくいわば温室育ちのまま社会にでて、会社での人間関係のトラブル(ある程度の足の引っ張り合いはどの会社にもあるわけです。また、外資系など足の引っ張り合いがないかわりに、理由を告げずに解雇などということもあります。)に対応できず、自分を責め、精神的に参ってしまうのもどうかと思います。
 もちろん、災難は、招かずにやってくるものですから、精神的に参った人が悪いわけではありません。
 ただ、誰しも自然に持っている、持つべき、その人なりの「危機管理マニュアル」もどこかで身につけなければなりません。
語学習得能力などからすると、人の学習能力は20代までがピークですから、可塑性(自分から変わっていこうする能力、意欲)がある10代で、この術を身につけることは、その人のその後の人生の中で、重要なのではないかと思います。

 何事もないハッピーなだけの人生が、すべての人に与えられるわけではありません。
 

投稿者 : admin 投稿日時: 2006-11-01 (874 ヒット)
 とうとう、人口減少時代が始まりました。
 去年と今年で、各2万人程度の人口が減少したという新聞記事が一面トップになりました。
 高齢化社会の中、老齢人口の増加がありますので(つまり、今までの老齢世代は、戦争の関係で絶対人口が少なかったわけですが、今後は戦後世代が老齢人口世代に達し、世代の絶対人口が増えることが予想されます。)、労働人口以下の世代の人口減少は、もっと大きいわけです。

 さて、人口減少と言えば、先行して話題になっていたのが、少子化問題、つまり合計特殊出生率、出産可能年齢の人口を対象に一人の女性が生涯に何人子どもを産むのかを出した数値の激減があります。
 移民増加などの特殊要因を除けば、人口が減らない合計特殊出生率は2以上です。理想的には、戦後長らく続いた2.1程度がいいのでしょうか。
 たまに誤解されているのですが、男性は子どもを産みませんので、1ペア2人に対して2人を生みだすのでなければ、人口は維持できません。加えて、社会的に結婚をして子どもを産まない女性がいることから、子どもがいる母親がすべて2人の子を持ったのでは、人口減少がおきるとされます。
 ちなみに、現在の日本の出生率1.25は、わかりやすく言えば、もともと親の世代は2人のところ、次の世代は1.25人しか生まれないので、人口は現在の出産可能年齢の世代の62.5%になり、近い将来37.5%の人口減少があるということになります。
 更に、もともと世代が若くなるほど人口が減っていますので、絶対的な出産可能年齢の人口が減少していることにより、仮にこれから相当期間合計特殊出生率が2以上となっても、日本の総人口は確実に減少します。

 新聞では、「日本はこれから長い人口減少時代が続く」と掲載します。裏を返せば、当面確実に人口が激減するということなのです。

 同じ昨日、出資法の例外なき引き下げが閣議決定されました。これにより、生活費を消費者金融で融通していた世帯は若干生活にゆとりがでるはずです。
 若い世代がこれにより出た生活のゆとりを、家庭を持ったり、家族を増やすということに向けてくれたら、出生率は上がると思うのですが。

 最近は、当人の問題というより、親離れ、子離れができないというパラサイトが問題なのではないかというような殺傷事件も増えてます。家族の構成が変わることにより、解消されるものもあると思います。

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