| アーカイブ |
日常問題 : 窓の目隠し・・・相隣関係
10月28日に東京地裁で相隣関係で、23区内で、境界から1メートル未満のところに建てられた、窓について合成樹脂で目隠しをするように命じた判決がでたとの記事がありました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051029-00000022-san-soci&kz=soci・・・もうアクセスできなくなりました。関係者不明のため、判決文の引用はありません。あしからず。
この判決の問題点は、2点あります。
まず第一に、少なくとも23区内では、土地が狭いため境界から1メートルを設けていない窓であっても目隠しをしなくていい慣習が確立しているのではないかということ、第二に、これでは目隠しを強いられた建物の部屋に窓がなくなるのと同様なことになり、通気の点で、建築基準法の基準を満たさなくなり、隣家のプライバシーを守る以上に、問題の建物に過度の負担を強いるのではないかということです。
建築基準法上、居室とする場合には通風、採光等に一定の条件を設けており、この基準を満たさないと納戸となり居室にはできないという制限があります(つまり建築法制として、国民の居住する居室には居室としての最低レベルを維持するよう規定がある。)。おそらく、この判決の建物の二階の居室は、居室としての建築基準法上の最低限の基準を満たさなくなるのではないかと思われます。
23区内はもともと確保できる土地が狭いので、敷地いっぱいに建物が建築されることが多く、この判決がまかりとおれば、通風採光等の条件を満たさず居室として使えない建物が数多く生じてしまう弊害が考えられます。
また、それを避けるために、都内で境界から1メートル下がって建物を建てたら、うなぎの寝床のような建物しか建てられず、庶民の都内でマイホームの希望がますます現実的に遠のいてしまいます。
注・都心(23区内)の住宅の基礎知識
都心の住宅にはほとんど庭がありません。土地いっぱいに建物を建てます。更に都心では道路の間口が7メートルあれば、再開発・・・いわゆるミニ開発で2戸建て売りが建てられる現状にあります(こういう戸建てだけが庶民に手が届く価格、5000万円〜6000万円程度の物件なのです。)。道路接面が1面の宅地が圧倒的ですので、こういう小さな土地で両隣の境界から1メートルも後退したら建つのは本当に「ウサギ小屋」しかありません。
なお、江戸時代から東京では、少なくとも庶民が暮らす地域では、民法234条、235条が遵守されていたとは思えません(昔は長屋が多かったことを考慮しても)。それゆえ、民法制定当時から、236条で慣習が優先という規定が設けられたのだと思います。
どう考えても、社会経済上の弊害が大きくなり、現実的ではないのですが。
なお、この民法234条(境界から50センチ離して建物を建てなければならないという規定)、235条(境界から1メートル未満の窓、縁側を設ける場合の目隠しを設置する義務を定めた規定)には、236条「異なる慣習があればそれに従う」という規定があります。
住宅が密集する都内では、236条を根拠に50センチ未満の建物が数多く建てられていますし(50センチとは人が通れる広さ。隣家と人が通れないほどの隙間しかない建物の方が圧倒的に多い。)、境界から1メートル未満の窓など無数にあります。
23区内では、236条が優先する、すなわち23区内では1メートル未満であっても目隠しをしないでよい慣習が確立しているという運用が実際上も多いはずです。というか、狭い宅地しか確保できない23区内で、戸建てで隣家境界と1メートルも間を空けて建物を建てることそのものが、無理なのです。また、そのために窓に目隠しを設けていては、必要な居室数は確保できません。
この裁判のケースには、特殊な事情(たとえば、がらっとあけたら隣の家の窓があるとか。)があったかもしれませんが、高裁の判断が待たれます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051029-00000022-san-soci&kz=soci・・・もうアクセスできなくなりました。関係者不明のため、判決文の引用はありません。あしからず。
この判決の問題点は、2点あります。
まず第一に、少なくとも23区内では、土地が狭いため境界から1メートルを設けていない窓であっても目隠しをしなくていい慣習が確立しているのではないかということ、第二に、これでは目隠しを強いられた建物の部屋に窓がなくなるのと同様なことになり、通気の点で、建築基準法の基準を満たさなくなり、隣家のプライバシーを守る以上に、問題の建物に過度の負担を強いるのではないかということです。
建築基準法上、居室とする場合には通風、採光等に一定の条件を設けており、この基準を満たさないと納戸となり居室にはできないという制限があります(つまり建築法制として、国民の居住する居室には居室としての最低レベルを維持するよう規定がある。)。おそらく、この判決の建物の二階の居室は、居室としての建築基準法上の最低限の基準を満たさなくなるのではないかと思われます。
23区内はもともと確保できる土地が狭いので、敷地いっぱいに建物が建築されることが多く、この判決がまかりとおれば、通風採光等の条件を満たさず居室として使えない建物が数多く生じてしまう弊害が考えられます。
また、それを避けるために、都内で境界から1メートル下がって建物を建てたら、うなぎの寝床のような建物しか建てられず、庶民の都内でマイホームの希望がますます現実的に遠のいてしまいます。
注・都心(23区内)の住宅の基礎知識
都心の住宅にはほとんど庭がありません。土地いっぱいに建物を建てます。更に都心では道路の間口が7メートルあれば、再開発・・・いわゆるミニ開発で2戸建て売りが建てられる現状にあります(こういう戸建てだけが庶民に手が届く価格、5000万円〜6000万円程度の物件なのです。)。道路接面が1面の宅地が圧倒的ですので、こういう小さな土地で両隣の境界から1メートルも後退したら建つのは本当に「ウサギ小屋」しかありません。
なお、江戸時代から東京では、少なくとも庶民が暮らす地域では、民法234条、235条が遵守されていたとは思えません(昔は長屋が多かったことを考慮しても)。それゆえ、民法制定当時から、236条で慣習が優先という規定が設けられたのだと思います。
どう考えても、社会経済上の弊害が大きくなり、現実的ではないのですが。
なお、この民法234条(境界から50センチ離して建物を建てなければならないという規定)、235条(境界から1メートル未満の窓、縁側を設ける場合の目隠しを設置する義務を定めた規定)には、236条「異なる慣習があればそれに従う」という規定があります。
住宅が密集する都内では、236条を根拠に50センチ未満の建物が数多く建てられていますし(50センチとは人が通れる広さ。隣家と人が通れないほどの隙間しかない建物の方が圧倒的に多い。)、境界から1メートル未満の窓など無数にあります。
23区内では、236条が優先する、すなわち23区内では1メートル未満であっても目隠しをしないでよい慣習が確立しているという運用が実際上も多いはずです。というか、狭い宅地しか確保できない23区内で、戸建てで隣家境界と1メートルも間を空けて建物を建てることそのものが、無理なのです。また、そのために窓に目隠しを設けていては、必要な居室数は確保できません。
この裁判のケースには、特殊な事情(たとえば、がらっとあけたら隣の家の窓があるとか。)があったかもしれませんが、高裁の判断が待たれます。
- いろはうた から環境問題を考える (2021-11-04)
- 秋の夜長に (2017-10-20)
- 今年もよろしくお願いします・・・弁護士20年目 (2015-01-01)
- 桐の木 と 報道の自由 と 国民主権 (2014-10-16)
- どこかで見た構図 (2012-12-15)
- ただの夢物語 (2012-09-16)
- プログラムの購入とは・・・・プログラム、インターネットの仕組みを教育する必要性 (2012-07-17)
- ローマ雑記と地盤の話 (2012-03-22)
- やさしい破産の話・・税収の倍近い借金をして歳出を増額する政府を考える。その1 (2010-01-17)
- 生活騒音について考える (2007-11-19)