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時事問題 : 東電事件
投稿者 : admin 投稿日時: 2013-03-20 (861 ヒット)
 東京電力に対する損害賠償請求がすごい勢いで増えていますが、懲罰的損害賠償請求が可能なアメリカで(日本は最高裁で否定されている。)、94億の損害賠償請求を請求した8名の原告が26人に増え、とうとう1850億円の請求に達したとの報道がありました。
1850億円と言えば、2012年のトルコ、インド、デンマークの年間国家予算を超え、世界第22位程度の年間国家予算規模に匹敵します(いつの時点での為替を基準にしたかで若干異なります。)。
それを28人の個人が請求してくるところが、さすがアメリカ、訴訟大国ならではと言ったところでしょうか。
しかも、これから、更に請求が増えるとのことです。

 もちろん、当時いわき市まで独自の退去命令を出し、原発施設製造元の一つであるGEを抱えるアメリカにあって、より正確な情報を保有していないはずがないのではないかとか、その前提で出した業務命令によって生じた被害があるというのであれば、それは業務命令を出したところに請求すべきではないかとか、東北沿岸部は壊滅的打撃を受けデータ収集が不可能な状況で何をどう公開するのか、他方で、風向き予報を含む天気予報は報道の前面に出ていた気がしますし(あの頃は「今日の福島第一原発の天気」の報道があり、毎日風向き、天気がわかりましたが、スポット天気予報が毎日流れるのは珍しいことです。)、何よりも事故の収束が最優先だったのではないかとか、根本的な問題はあると思います。
また、あっても一時的な被ばくで、因果関係が認められるのか微妙です。が、因果関係の立証の内容、負担は、国それぞれなので、一概に言えない逆の微妙さもあります。

 当時、放射線データは、日本初の原発立地の自治体東海村を抱える茨城県の計測データの自動公開サイトと個人がやっているサイトなどから入手したわけですが(福島第一、第二原発の敷地内のデータの東電からの発表もあったが、値が大きすぎること、手入力であること、拡散の度合いがまったくわからないことから、どう判断していいのか難しかった。)、大変アクセスしにくかったことからすれば、結構な人が頻繁にサイトをチェックしたわけですし、首相が壊滅的な被災地にさきがけて東電の現地視察をやった時点で「まずい」というメッセージが全国的に流れたわけですが・・・。
一日も早い冷温停止に総力を挙げていた中で、わが国ではパニックは誰も望んでいなかったわけです。

 更には、もっと高い線量を浴びた日本人の問題もいずれ出てくるかも知れず、また、休業補償期間が継続している人もいる中で、東電は、際限ない巨額損害賠償の負担がさらに増え続けているわけです。
 現時点でも、明らかな債務超過、支払い不能が見込まれるわけですから、普通だったら、そろそろ法的手続きに検討すべき時期にあるとも思えます。 東電の法的手続きの問題がクローズアップされないのは、国が際限ない貸付をしているからですが、為替事情からすれば本業でも黒字転換できないわけですし、損害賠償処理の透明性、公平性を確保するのであれば、公的資金注入にあたって、日本航空のように会社更生手続きを経る方が望ましいという考え方もあります。

 増え続ける巨額の損害賠償請求を受ける会社に対して、法的手続きも取らずにそのまま組織が維持され、際限なく国が融資を実行することが果たしていいのかという問題は、そろそろ、議論してもいいと思います。

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