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時事問題 : 相性の問題
9月も半ばになり、虫の鳴き声が秋を感じさせるようになりました。
最近のトピカルな話題と言えば家庭連合(旧統一教会)です。凶弾(教団?)に倒れた事件に関し、亡くなった方に謹んでご冥福を祈りつつ、これについて考えていきたいと思います。
このキリスト教系の宗教団体の問題性は、本部が韓国にあり、こと海外である日本での活動がえげつないことだと話題になっています。
家庭連合の問題は、結果として、烏合の衆の有権者も、数が集まれば、政治に物申す力になることを浮き彫りにしました。
選挙は、一人ひとりが投票するだけでなく、組織的に投票し、その組織としての意見表明をすることで、政治家を動かせるということが、「家庭連合」の実例により、改めて確認できました。
個人個人が孤立しがちな現代日本で、何かの意見表明のために横のつながりを作り、それを一つのグループにまとめ上げれば、政治に影響力を与えることができることが、次の政治の一手になり政治のクリーン化になるかどうか、注目して行きたいところです。
さて、この宗教団体の入信勧誘時のセールスポイントは、入信すれば「確実に結婚ができる」なのだそうです。
この団体の信者同士の合同結婚式は、式の直前まで結婚相手が知らされず、男女の性別は超えることはなく、他方、人種言語の違いを超えてカップルリングがなされ、皆が同じ衣装を着て一斉に結婚式をやり、それぞれがすぐに結婚後の共同生活を開始します。
先日、韓国で日本女性が宗教の自由を求めて数千人デモ行進をしたとのことですが、デモに参加した方々が「家庭連合」に不満を抱かず、「家庭連合」の教えを支持することは間違いなく、合同結婚式の勝ち組(結婚相手に外れなかった方)ということになるのでしょう。結婚相手に恵まれず、最悪をたどった負け組は、デモには参加しません。
確かに、今まで全く知らず、人種や話す言語が違っていても、生物学的には同じニンゲンで、この特徴的な教義に則って、積極的に生物学的なふれあいをすることで情が湧くから、なんとかやれる、婚姻生活もそれなりにうまく行くという面はあるでしょうが、長い目で見るとそれだけで続けるのは至難の業です。
言語を含む生活環境、人格的、性格的、経済的な不一致などの理由で、破綻する場合も多かろうかと思います。
カップルは教祖の教えにより抽出し、家庭連合のスタッフの恣意が働かないというのであれば、統計学的に考えれば負け組と勝ち組は前者が多くなるので、デモに参加しなかった負け組の人数を考慮すれば、合同結婚式で韓国に渡った日本国籍の女性はかなりの人数になるのだなと、個人的に心配になりました。
日本でも婚活サイト、結婚斡旋業をする会社も多数あり、中には自治体がマッチングを支援するところもありますが、ここまで踏み込んだことはできません。
成婚率という意味では断トツと思われる「家庭連合」の、結婚相手に愛だの恋だの抱かなくても教義の上に成り立つ生物学的なふれあいがあれば婚姻生活はうまく行く、所詮人間はニンゲンであり、その生物の枷から抜け出すことはできないという発想(教え?)は、婚姻制度の本質を突くものではあり、ある面で無視できない真実です。
勝ち組(それなりの相手と結婚できた方)の影に、どの程度の負け組(どんでもない相手と結婚した方)がいるのかという実数問題はありますが、「家庭連合」の特異かつセールスポイントである合同結婚式は、ニンゲンの一面を突いた考えさせられる事象です。
もちろん、現代社会は、生物学的な営みだけでは到底社会が成り立っていきませんし、これがまかり通っては悲劇的な負け組が多数発生し、弊害が多いから異端の域を出ませんし、冷静に考えれば、ナンセンスであることは誰しも考えつくことです。
日本での宗教弾圧はキリスト教弾圧の歴史で、それについて禁忌の感があり(ただし、それはヨーロッパの魔女狩りで言われる殺害を目的とするものではなく、棄教の強制が目的であったと言われています。)、家庭連合の宗教法人の認可取消しは難しいかも知れません。
ただし、宗教法人法の法人許可を厳格にしたり、今回のように宗教法人の名称変更を制限して、世間の目をごまかして活動を続けることのないようにすることはできると思います。
悪名高きヨーロッパ中世の免罪符制度より質(たち)が悪い、「家庭連合」の霊感商法を容認することはできません。宗教団体に寄付はつきものですが、現世の当人ではどうしようもない先祖由来の負のスパイラルに対する償いと称して、見境なく、信者などから金を巻き上げる、永遠に終わりがない集金システムというのも、全く容認できません。
私も、韓国で宗教の自由の侵害だとデモがあったことに違和感を覚えます。
今後の課題としては、この「家庭連合」の合同結婚式、壺や本の販売について、宗教性を否定し課税扱いとし、その活動内容を、税務署や宗教法人所轄部署に対して明確にさせることも肝要かと思います。
なお、宗教問題は、メンタル面で問題がある時に落ち入りやすく、つけいられやすいと言われます。
人の精神を鍛えるのであれば、可塑性がある未成年の時期が一番適しています。
メンタルを鍛えるとは、その人にとって克服できる程度に精神的負荷がかかる体験をいくつもこなしていくことですが、人間関係における失敗や小さな成功体験の積み重ねが肝心ということです。
「家庭連合」がまき餌にする一つと言われる占いや、あるいは世の中に多数ある効果が疑問視されるような自己啓発セミナーなどに頼るのではなく、地道に対人関係に関し切磋琢磨してスキルを身につけるのが肝心ということになるのでしょう。
2023.2.10補足
2023年が始まりました。
さて、国会ではLGBTが話題になっていますが、日本では性別変更を認める法制度があるので広義の同性婚が不可能ではなく、また女装の歌舞伎や麗人の宝塚などもある反面、身近の問題となれば、受け入れがたい面もあるのだと思います。
LGBTを題材にした作品は色々出版されていますが、マジョリティーの立場からLGBTを含むマイノリティーの問題を描いた、渡辺多恵子氏「ファミリー」を個人的には評価したいと思います。
40年前の作品ですが(リアルタイムで読んでいました。)、クレジットカード社会が舞台で、ゲイカップルの子どもの苦悩を描くなど、現代に通じる重い題材を軽快に描いているので、読みやすいのではないかと思います。
最近のトピカルな話題と言えば家庭連合(旧統一教会)です。凶弾(教団?)に倒れた事件に関し、亡くなった方に謹んでご冥福を祈りつつ、これについて考えていきたいと思います。
このキリスト教系の宗教団体の問題性は、本部が韓国にあり、こと海外である日本での活動がえげつないことだと話題になっています。
家庭連合の問題は、結果として、烏合の衆の有権者も、数が集まれば、政治に物申す力になることを浮き彫りにしました。
選挙は、一人ひとりが投票するだけでなく、組織的に投票し、その組織としての意見表明をすることで、政治家を動かせるということが、「家庭連合」の実例により、改めて確認できました。
個人個人が孤立しがちな現代日本で、何かの意見表明のために横のつながりを作り、それを一つのグループにまとめ上げれば、政治に影響力を与えることができることが、次の政治の一手になり政治のクリーン化になるかどうか、注目して行きたいところです。
さて、この宗教団体の入信勧誘時のセールスポイントは、入信すれば「確実に結婚ができる」なのだそうです。
この団体の信者同士の合同結婚式は、式の直前まで結婚相手が知らされず、男女の性別は超えることはなく、他方、人種言語の違いを超えてカップルリングがなされ、皆が同じ衣装を着て一斉に結婚式をやり、それぞれがすぐに結婚後の共同生活を開始します。
先日、韓国で日本女性が宗教の自由を求めて数千人デモ行進をしたとのことですが、デモに参加した方々が「家庭連合」に不満を抱かず、「家庭連合」の教えを支持することは間違いなく、合同結婚式の勝ち組(結婚相手に外れなかった方)ということになるのでしょう。結婚相手に恵まれず、最悪をたどった負け組は、デモには参加しません。
確かに、今まで全く知らず、人種や話す言語が違っていても、生物学的には同じニンゲンで、この特徴的な教義に則って、積極的に生物学的なふれあいをすることで情が湧くから、なんとかやれる、婚姻生活もそれなりにうまく行くという面はあるでしょうが、長い目で見るとそれだけで続けるのは至難の業です。
言語を含む生活環境、人格的、性格的、経済的な不一致などの理由で、破綻する場合も多かろうかと思います。
カップルは教祖の教えにより抽出し、家庭連合のスタッフの恣意が働かないというのであれば、統計学的に考えれば負け組と勝ち組は前者が多くなるので、デモに参加しなかった負け組の人数を考慮すれば、合同結婚式で韓国に渡った日本国籍の女性はかなりの人数になるのだなと、個人的に心配になりました。
日本でも婚活サイト、結婚斡旋業をする会社も多数あり、中には自治体がマッチングを支援するところもありますが、ここまで踏み込んだことはできません。
成婚率という意味では断トツと思われる「家庭連合」の、結婚相手に愛だの恋だの抱かなくても教義の上に成り立つ生物学的なふれあいがあれば婚姻生活はうまく行く、所詮人間はニンゲンであり、その生物の枷から抜け出すことはできないという発想(教え?)は、婚姻制度の本質を突くものではあり、ある面で無視できない真実です。
勝ち組(それなりの相手と結婚できた方)の影に、どの程度の負け組(どんでもない相手と結婚した方)がいるのかという実数問題はありますが、「家庭連合」の特異かつセールスポイントである合同結婚式は、ニンゲンの一面を突いた考えさせられる事象です。
もちろん、現代社会は、生物学的な営みだけでは到底社会が成り立っていきませんし、これがまかり通っては悲劇的な負け組が多数発生し、弊害が多いから異端の域を出ませんし、冷静に考えれば、ナンセンスであることは誰しも考えつくことです。
日本での宗教弾圧はキリスト教弾圧の歴史で、それについて禁忌の感があり(ただし、それはヨーロッパの魔女狩りで言われる殺害を目的とするものではなく、棄教の強制が目的であったと言われています。)、家庭連合の宗教法人の認可取消しは難しいかも知れません。
ただし、宗教法人法の法人許可を厳格にしたり、今回のように宗教法人の名称変更を制限して、世間の目をごまかして活動を続けることのないようにすることはできると思います。
悪名高きヨーロッパ中世の免罪符制度より質(たち)が悪い、「家庭連合」の霊感商法を容認することはできません。宗教団体に寄付はつきものですが、現世の当人ではどうしようもない先祖由来の負のスパイラルに対する償いと称して、見境なく、信者などから金を巻き上げる、永遠に終わりがない集金システムというのも、全く容認できません。
私も、韓国で宗教の自由の侵害だとデモがあったことに違和感を覚えます。
今後の課題としては、この「家庭連合」の合同結婚式、壺や本の販売について、宗教性を否定し課税扱いとし、その活動内容を、税務署や宗教法人所轄部署に対して明確にさせることも肝要かと思います。
なお、宗教問題は、メンタル面で問題がある時に落ち入りやすく、つけいられやすいと言われます。
人の精神を鍛えるのであれば、可塑性がある未成年の時期が一番適しています。
メンタルを鍛えるとは、その人にとって克服できる程度に精神的負荷がかかる体験をいくつもこなしていくことですが、人間関係における失敗や小さな成功体験の積み重ねが肝心ということです。
「家庭連合」がまき餌にする一つと言われる占いや、あるいは世の中に多数ある効果が疑問視されるような自己啓発セミナーなどに頼るのではなく、地道に対人関係に関し切磋琢磨してスキルを身につけるのが肝心ということになるのでしょう。
2023.2.10補足
2023年が始まりました。
さて、国会ではLGBTが話題になっていますが、日本では性別変更を認める法制度があるので広義の同性婚が不可能ではなく、また女装の歌舞伎や麗人の宝塚などもある反面、身近の問題となれば、受け入れがたい面もあるのだと思います。
LGBTを題材にした作品は色々出版されていますが、マジョリティーの立場からLGBTを含むマイノリティーの問題を描いた、渡辺多恵子氏「ファミリー」を個人的には評価したいと思います。
40年前の作品ですが(リアルタイムで読んでいました。)、クレジットカード社会が舞台で、ゲイカップルの子どもの苦悩を描くなど、現代に通じる重い題材を軽快に描いているので、読みやすいのではないかと思います。
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