ˡΧ̳
時事問題 : 東北地方のDNA・・・再生を祈念して
投稿者 : admin 投稿日時: 2011-03-22 (914 ヒット)
さて、DNAつながりで、最後に、東北地方に関する話を一つしたいと思います。
東北地方は、もともと自然の厳しいところで、戦後はともかくとして、長い間、冷害、津波と自然災害とも鋭く向き合ってきた土地でもあります。
東北地方には、何体か即身成仏された仏様が祀られている寺があります。即身成仏といえば、平安時代の平泉の藤原氏3代が有名ですが、平安時代以降に、即身成仏された方々は主に民衆でした。
即身成仏とは、簡単に言えばミイラになることですが、他国のミイラとはその生前の信念が全く異なります。
有名なエジプトでは、金持ちが金にまかせて、臓器を防腐処理して安置するものですし、他の各地で見つかるミイラは自然の賜物的に偶然に生じるものです。
しかし、こちらの即身成仏は、生前よりミイラになるべくして6,7年、厳しい精神修行を伴う段階的食絶ちをして(中途半端な絶食では死後内蔵が腐るのでミイラにならない)、死を迎えます。

なんでこんなことを知っているのかというと、数年に及んだ司法試験の勉強のために、図書館通いをしていた時に、暇な時期にぱらぱらと、写真集をみることがあったからです。
その一冊の知識ですが、その寺の仏様(上人)は、生前のプロフィールも残っていました。
その上人は、生前は博徒で、江戸時代の東北の大飢饉(確か最後の時期のはずです)の際に、即身成仏となることを決意し、段階的食断ちを経て、6,7年後成仏されたとのことです。
一般に成仏は、安寧祈願の象徴であり、護国・豊穣の祈念は当然にその前提になっています。壮絶な精神修行の中で、上人が何を考えられたかまでは知るよしもありませんが、思うことは、今を生きる人々と大して変わらないのではないでしょうか。
即身成仏という古き風習の是非はともかくとして、そういう強い願いがあったことには、敬意を払いたいと思います。

東北地方には、木喰の素朴な木造の仏像が数多く残っています。
京都あたりの立派な仏像もいいですが、私は、円空、木喰に代表される、庶民の素朴な暖かみのある仏像も好きです。
また、木喰作でなくとも、デフォルメの大きい仏像は、東北地方の寺の仏像の特徴のような感じがします。

いろいろな災害に遭っても1000年を軽く超える長い期間、脈々と生活が営まれてきた東北の地で、再びやり直すことは、やり直す気があれば、可能です。先人は実際にそうしてきました。
この大震災を今後の生活を営む上での最良の教訓にした上で、その地域、あるいは被災した方々それぞれにとって、更に前に進んでいただきたいと願ってやみません。

印刷用ページ