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時事問題 : 基準緩和より表土処理・・文部科学省のすべき一石二鳥の話
投稿者 : admin 投稿日時: 2011-05-10 (1115 ヒット)
さて、連休前後に内閣官房参与のメンバーが、文部科学省が学校校庭の年間放射線許容量を1ミリシーベルトから1〜20ミリシーベルトに引き上げたことに対し、抗議の意味で辞任したとの報道がありました。
なぜ、文部科学省がこのような引き上げをしたかと言えば、単純なことですが、福島県内等の学校校庭を、現状のままで短時間でも使用すると1ミリシーベルトを簡単に超えてしまうからです。毎時1マイクロシーベルトの地点が続出していた、していることを考えれば、そのまま校庭を使用すれば超えるのは当然のことです。

ただ、20ミリシーベルトは、レントゲン技師の年間許容被曝量50ミリシーベルトの半分以下だともしても、放射線の影響を特に受けやすいとされる子どもの被爆量がこれでいいわけありません。
医療被曝線量ガイドラインでも、レントゲン撮影をする場合であっても、小児は成人と比べてかなり低くするよう定められています。

この問題を解決する最有力な方法は、放射性物質に汚染された表土を除去することです。現在では新たに降り注がれる放射性物質はほとんどない状態にあるので、表土除去は唯一の実効性ある手段です。
しかし、学校校庭の表土の廃棄については、郡山市内であっても最終処分場への廃棄に強い反対があり、廃棄できませんでした。校庭にそのまま野積みになっていれば、意味はありません。

他方、福島第1原発の敷地表土に強い放射性物質が降り注ぎ、その濃度が作業の妨げになっていることは、明らかです。ここも表土からの放射性物質から出る放射線を少しでも緩和できればいいに超したことはありません。ただ、地下水への放射性物質の流出が止まっていないので、残土除去は今はできません。
そこで、福島第1原発の敷地全体を、頑丈な基礎を持つコンクリート基礎・擁壁で囲み、校庭から出る、おそらく大量と予想される、微量放射能を含んだ表土を運び込み、少なくとも一定期間盛り土するのは、実効性ある方法だと思います。1mあるいは2m程度土を盛ったら、それでも放射性物質を結構遮断できるのではないでしょうか。
高濃度の放射性物質を含んだ汚染水の処理施設を地下に作るということですが、これも、盛り土を前提とすれば、作業はより簡単にできます。
余震の津波により盛り土の流出の懸念もありますが、もともと、ここの表土の放射性物質は比較にならない程高いのですから、地盤の流出が盛り土(但し、通常以上に地盤に転圧をかけることはもちろん必要です)にとどまるのであれば、放射性物質の流失が抑えられるメリットがあります。
問題は、地盤上昇により、既存の建物の入り口をどうするかの問題はあり、それなりの工事費用はかかるでしょうが、それを上回るメリットが見込まれそうです。
いい案だと思うのですが、どうでしょうか。

幼児乳児、児童においては、ある程度外気に皮膚をさらし、また適度な屋外での運動をする必要がありますが(公園デビューはママのためだけではありません。)、そろそろ震災から2か月経つのに、ほとんど戸外に出られない子どもたちが大量に発生するのは、やはりいいことではないのです。

文部科学省のやるべきことは、基準を緩和すべきことではなく、校庭の表土除去を速やかに行い、その上で、毎日の放射線飛散予測から、どこの校庭が使えないかを各学校に通知するような臨機応変な態度です。是非、実践的、実効的な表土除去の手はずを整えて下さい。年間被曝量1ミリシーベルトを超えない範囲にするには、福島県内のかなりの範囲の学校校庭が対象になるはずです。
が、福島県内であれば、現状がわかっているはずです。今更、パニックでもないでしょう。しかも福島第1原発は、これから夏に向けて、表土から出る放射性物質を減らすことは急務であり、高い濃度故、また、地下水への流出が止まっていない状態にある故、むしろ盛り土で対応するのが望ましいような気がします。

先日、文科省が校庭の下土と上土を入れ替える実験をし、それにより放射線量が格段に下がる結果を得たとのことです。下土を表土と交換するだけ低くなるのは当然と言えば、当然ですが、できれば、どこかで割り切り(大反対があっても、押し切るという意味も含みます)、一時保管場所・保管場所を設定した上で、表土除去をして、遠隔地からの運んできた土で表土の入れ替えをやって欲しいものです。小学校、保育園、幼稚園だけは。

国の責任機関であるはずの文部科学省が後ろ向きになったのでは、何も改善されません。是非率先してやっていただきたいと思います。

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