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投稿者 : admin 投稿日時: 2012-01-11 (883 ヒット)
明けましておめでとうございます。
 当事務所は4日から執務を開始しました。年内早めに冬休みに入るため、11月から土日1日は出勤し、12月の土日はほぼ両日出勤、更には12月はほぼ20時以降の帰宅で、その後も残業有りという、なかなかハードなスケジュールをこなしました。
 とはいうものの、その後同業の友人にこの話をしたら、「それ(夜の残業、休日出勤)は、今でもよくある」と指摘され、この年になっても上には上がいると、改めて、身が引き締まる思いです。  
 なお、休暇はなかなか有意義で、少し時間を見つけて調べた上で、「コンクリート構造物で構成された都市の、よりよい再開発とは何か」をテーマに書ければと思っています。
 
 百聞は一見に如かず。行ってきました、イタリアに。
 日本の建築基準法と耐震設計が身についている私としては、ピサの斜塔は怖かった。
 アーチ橋の原理により外力・自重に対してある程度安全と理解はできるのですが、配筋なしの組積工法で、水平が確保されない建物にいるのはどうか・・という認識が拭えませんでした。上まで駆け足で昇ったり、最上部の低くなっている方に居続けると結構怖いです。なお、階段部分の極端なすり減り方は別ですが、築年数があるのに石組みに劣化、損傷はなかったのはすばらしいことです。
 また、ローマ市内の、建物を取り壊すことなく、古い建物の上にそのまま新たに建物が建てられていたり、建物にやたら地階が多いことなどは、地震対策として、建物に強度確保が要求される日本では考えられません。
 しかし、地震がないと言っても、自重により建物が陥没することなく、実際に存在し続けていることの意味は大きいと感じました。 他に例がない、長い歴史のある石造りの都市でのやり方は、現在の再開発のように、全部壊して一からやり直すという方法だけではない、有効的な再開発のヒントがあるような気もします。

 昨年の話題と言えば、TPPでしたが、アメリカのパブリックコメント募集の記事によれば、(農産物も含まれそうですが)日本の関税障壁は既にほとんど撤廃されているとのことですが(これも本当なのか知りませんが)、何がデメリットなのか、メリットなのか、もっと情報が欲しいところです。
 
 なお、国民皆保険制度が撤廃される危惧があるとも言われますが、我が国の健康保険制度の保険料は税金が占める割合は大きいし、実際赤字なわけですから(見た目黒字の保険組合もあるが、それは核家族化の進行により独立世帯となっている高齢者が国民健康保険に集中し、その分健康な人が大半を占める勤労者世帯の占有率が高いことが原因。)、治療費支給を目的とする健康保険の民間開放が、外資に取り、さほどメリットではないと思っています。むしろ、赤字体質の健康保険制度を国家が無理無理存続させる前提で(どう考えても健康保険への税金投入拡大を阻止できないのに、年末の診療報酬改定も、薬の保険点数を下げ、なぜかこのご時世で人件費の値上げとしか考えられない改正を認め、医療費(診療報酬)値上げほぼ0%達成という厚労省の感覚は未だに理解できない。また、このまま健康保険制度が破綻すれば、一番不利益を被るのは、健康保険制度の恩恵を受けている者だとの認識がない業界の姿勢もよくわからない。)、いわば2階部分の医療保険を設計する方が、利益がでるのではなかろうかと思います。
 つまり、現在の民間医療保険は、健康保険制度がある前提で、保険の支払いをします。健康保険のカバーされる医療費の給付をしなくてすみます。そのため、おそらく、アメリカの、同様の医療保険の保険金給付額(保険会社が支払う保険金)より日本の保険金給付額の方が格段に少ないはずで、契約者が支払う保険料額との兼ね合いはありますが、理論的には保険会社はずいぶんな黒字体質のはずなのです。
 我が国の民間の医療保険は、その補償内容は休業補償であることの方が多いですが、こういう民間保険は、他国ではあまり見かけないのではないでしょうか。医療保険は医療費相当額の保険金支給の方が世界的には主流のはずです。
 このように考えると、外国圧力により国民皆保険制度がなくなると言うよりも、(制度破綻はともかくとして税金投入を前提とした)国民皆保険制度を生かす前提で、民間医療保険に大々的に参入する方が外国にとっては現実に魅力があるのではないしょうか。

 現状でも、民間保険にはCMの耳障りはよく、保険料も安いが、約款を読むと補償にはやたら制限(免責条項)が設けられていたり、あるいは制限による保険支給額の極端な減額がある保険もあります。また、保険金請求の段階になると、保険会社が支払いを極端に渋り、保険料が安くても、結局得にはならない保険などもあります。
 厳しい言い方をすれば、保険会社は、約款で免責条項を細かく設け、保険金支給要件を満たしても支払いをしなくてもよい仕組みを作れば、利益がでます。ただ、こういう方向で、いかに利益を出す保険を設計するかを、外資入り乱れて保険会社同士が競争する状態になったら、消費者としては、ものを見る目を養わなくてはならないということになるのでしょう。
 これからは、保険料の違いだけに着目して、保険の乗り換えをするのではなく、補償内容の他に、どんな免責条項(保険支給要件を満たしても支給させないケース)があるのか、実際に保険金の支払い状況は良好かなど、保険金を受給する・される際の払い出しの実態も十分考慮して、保険を決めるべき状況になります。
 いろいろな保険金請求の場に関与すると、同じような事例で、同じような保険料を支払っていても、保険会社により、支給される金額に差が出るケースはよく見られるので、個人的には、保険は、免責約款、支払い状況まできちんと確認すべきと考えています。 
 ここまで来るとTPPとか障壁云々の問題ではなくなりますが、保険営業マンの説明だけでなく、その保険、その保険会社の保険金の払出実績金額が重要との認識で、保険契約の加入をすることを是非お勧めします。

 今年こそ、皆様にとって、いい年でありますよう祈念し、年頭の挨拶といたします。

投稿者 : admin 投稿日時: 2011-11-15 (4740 ヒット)
何か事業を興し、事業規模を拡大するにあたって、真っ先に拡充しなければならない設備は、インフラすなわち通信設備の拡充です。
今時は、名刺に携帯電話を書き、顧客とのやり取りはすべて携帯かメールということもありますが、ある程度の規模になれば、機能の多様性を考えれば、ビジネスホンが欲しくなります。子機1台対応のダブルチャンネルだけでは足りなくなってきます。

ビジネスホンは、複数回線の電話を数台の電話で同時に通話できるだけでなく、どの受話器からも同じように複数の電話を受信できるという意味では、他に代え難い機能があります。
しかし、ビジネスホンは、総じて値段が高い。子機数台の家庭用電話機が1,2万円で買えるのに、ビジネスホンは購入価格(設定費込み)で60万円前後します。最初、この事実を知ったときは、金額の記載ミスかと思ったくらいです。
確かにビジネスホンは特殊な仕組みではありますが、ここ20年以上、価格変動がなく、高止まりしてします。電話機能だけを見れば、特殊性はありませんので、ビジネスホンの特殊な仕組み、基盤と、その技術的独占性が、高額な価値を維持しているとしか考えられません。
カラーでLAN付きのFAXコピー、スキャン複合機が、ビジネス用でも一ケタで購入できるのに、電話の機能しかない、ビジネスホンの方が最低でも50万円以上というのは、納得できかねます。
個人的には、是非、この市場にもっと企業が参入し、独占体制に市場原理を及ぼして欲しいと思います。

とはいうものの、この高額市場に対抗して成長しているのが、中古ビジネスホン市場です。ビジネスホンは、本体価格がやたら高いので、リース落ち等の中古ビジネスホンを安く仕入れることによって、中古市場は高い価格競争力があり、大変魅力的です。
 中古だと、最安値で、6,7万円で設置できるわけですから、いろいろなものに目をつぶっても、とても魅力を感じます。

 高額なビジネスホンの取得方法として、伝統的に行われることは、ファイナンスリースを組み、少なくした月々の返済金額を支払っていくやり方です。
 ファイナンスリースでは、所有権を取得する場合と違って、税法上、全額を損金に組み入れられるから節税になる点、償却資産として資産税を支払わなくていいから節税になる点、メンテナンスが受けられる点が強調されます。
 しかし、これが、全く、くせ者の理屈なのです。
 確かに、リースにすれば、税法上は貸金ではなく、売買か賃貸に分類され(民法(債権法)改正検討委員会http://www.shojihomu.or.jp/saikenhou/Japanese/index_j.html
は全く逆を言っています。債権法改正で税法に変化は生じるのでしょうか)、300万円以下のリースで賃貸処理すれば全額損金計上でき、また、額が小さければ償却資産税を支払わなくていいわけですが、所有すれば経費として計上できるはずの減価償却が、経費にならないことと(5年償却の場合には、5年合計で購入金額の95%を経費計上できる)、リース代として割高な利息を支払っている関係で(場合によりますが、リースを組むと、だいたい15%程度余計に支払うのではないでしょうか。)、節税メリットがあるか、甚だ疑問です。私は、節税にはならない場合が多いと思っています。

(2012.9.29補足)
 また、会計知識があれば当然のことですが、減価償却は月ごとの償却もあるわけで、結果としてリースの支払いと会計上は異なることは全くありません。しかも、リース終了の場合の処分費は、ご存じのとおり、リース期間が終わって何年もたてば、リース会社より「うちは記録が残っていない。勝手に処分してください」と言われ、処分費も出してくれません。

 落雷での故障などでは保険適用があるからリースがいいと言っている人もいるようですが、仕事を通じても落雷により電話機が故障したとう話は一度も聞いたことがありません。そもそも、落雷で電話線や電線に通電することは、どのくらいの確率であるのでしょうか。ほぼ0%ではないでしょうか。また、漏水などの故障に関しては、通常の店舗や事務所の動産保険が適用されます。

 また、機械メンテナンスも、購入しても保守サービスのオプションを付けられる場合も増えてきています。更に、改正債権法審議案でもそうですが、もともと、ファイナンスリースは「メンテはユーザー負担」が原則なので、リースにメリットはありません。

 そもそも、ファイナンスリースというのは、リース会社は、各販売業者に事前に加盟店契約とリースを組める商品を限定指定し、対ユーザーとの関係より、2社の方が余程密接な関係にあるのに、リース会社の「申し込みがあったから、リース物件を購入してリースを組んだたけ」「お金だけ出すから、リースによって生じるリスクは一切負わない」というスタンスがまかり通る仕組みです。ユーザーはリース目的物の直接の当事者でないため、リース物件に対するクレームを誰にも付けられません。
しかも、ファイナンスリースは、一旦リースを始めると、契約上は、途中で解約することができません。全額の支払い義務が最初から予定されているため、分割で商品を購入するのと金額は全く変わりません。
現在、債権法の改正審議がなされていますが、なぜだかよくわかりませんが、リース会社に極端に有利になることで、素案骨子が固まっているようです(http://www.shojihomu.or.jp/saikenhou/Japanese/index_j.html
2008年9月23日「ファイナンス・リース」の改正試案 民間の委員会ですがメンバー構成から見ると改正への影響力大と考えます。参照)。

 今までの惰性か、役所等の公共機関の備品でも、リースのシールはよく目につきます。
 お金を貸すのであれば、貸金業法、出資法いろいろ規制法があるのですが、残念なことに、ファイナンスリースに関しては、規制法はありません。そればかりか、改正債権法では、現在のファイナンスリースの制度の追従をする内容が規定される方向になっており、リース会社に一方的に有利な状態が確立するようです。
 もともと、加盟店契約をしているリース業者の販売業者の結びつきは強いわけですから、この2社がタグを組めば、してやられるユーザーも結構いるのは事実です。ファイナンスリーストラブルは、実際、後を絶ちません。
 税法は、どこかで得をすれば、どこかで得にならないような仕組みになっているのですが、セールスマンは、得にならないデメリットなど教えません。

 私は、この成熟したリサイクル社会においては、メーカーが直接行うリースは別として、ファイナンスリースは、中古市場が取って変わるべきだと考えています。

 購入したい商品が高額なため、セールスマンにリースを勧められた場合には、分割で購入できないか、ファイナンスリースではなく、直接リースをしているメーカーは無いのか、中古市場はないのか、是非確認されることをおすすめします。
 高額商品には、ほぼ確実に、中古市場が存在します。
 また、まれに、大型機械では、メーカーが直接リースをしている場合があり、その場合には、仮に支払えなくなっても、機械を回収すれば、残金が発生しないシステムを取っているところがあります。そういうところがないか探して下さい。これができるのは、回収すれば、リース先を探せるという自信、すなわち自社製品に対する自信があるからなのでしょう。個人的には、それは、いい商品の証と考えています。

 ファイナンスリースというのは、メーカー直接のリースと異なり、ユーザーに取ってはいいことがない契約であることは、これから起業・拡大する方は、覚えておかれるといいと思います。
 改正債権法審議の流れがユーザーに圧倒的に不利で、しかも、ファイナンスリースの仕組みは、言われるほど節税メリットがないのですから、ファイナンスリースを組まないという自己防衛は、かなり重要です。

投稿者 : admin 投稿日時: 2011-08-04 (955 ヒット)
本日の新聞記事によれば、衆院沖縄・北方問題特別委員会で、根室市長が、北方四島との「ビザなし経済交流」を提案し、その理由として「四島の島民(根室に住む旧島民でしょうか、現在住むロシア人でしょうか。)からは『日本の品物をどんどん入れて欲しい』と言われた。北方領土の主権問題を棚上げして、経済発展に貢献すべきとの意見をしたとのことです。

これは、実に、平和な日本を象徴する発言だと思います。

3.11の時に、自衛隊が被災地救援に全力を挙げているとの報道があった際に、3.21に日本の領空に接近しスクランブルさせたのは、どこのお国か、また、敗戦直後、鉄道敷設のため50万人以上の日本兵の強制労働を敢行し、10万人以上の死亡者を出した国がどこか、忘れてしまうのでしょうか。

確かに、ロシアとの貿易港は、新潟など日本海側に多いのも知れませんが、地理的には国交が開かれていない根室や稚内の方がずっと近いのです。本来であれば、もっと警戒感、緊張感を持ってもいいはずですが。どこが一番危険があるのか、全く考えていないのでしょうか。

ビザなし経済交流とは、関税なしの貿易ということでしょうか、それとも従前と同様親善に名を借りたインフラ設備や建物提供なのかまでははっきしませんが、墓参りの手土産を渡すようにはいきません。
経済発展がそのまま軍事力強化につながるのは、中国の例でも明らかです。

ほぼ人が住めない無人島に関与して、あれほどまでに大騒ぎをする(させている)お隣の国ほど警戒感を持つ必要はありませんが、配慮すべきは目先の経済発展だけでいいのか、将来を考えなくていいのか、疑問を感じざるを得ません。

竹島の日が設定されて、韓国国内で大騒動が起きていた頃、昼食を取るために、立ち寄った、少し郊外の韓国人が比較的多いと言われる町の、百貨店のレストラン街(場所によっては、昼食時も人が少なく時間がかからない。)の韓国料理の店内で、韓国人の店長と日本人のパートのおばさんが、日本語でこういう話をしていました。
「この曲(店内に流れていた韓国語の曲)、知っている?」
(パートのおばさんは、韓国語の曲は歌詞がわからない)
「知らなーい」
「これは、○○独島へ という曲なんだ」
(その後、店長は、竹島について説明しようとするが、パートのおばさんはその言葉を遮るように)
「ふーん、そうなの。」
(日本人的曖昧言葉による、会話打ち切り宣言)

この韓国人のように日本在住で日本語を自由にこなす立場にあっても、国境問題に真剣になりましょうとは言いませんが、求められれば、また短期的に地元が潤えば、何でもよしではないはずです。
ロシアからみれば、我が国は南に位置し、アメリカとも中国とも地理的条件が異なります。

根室市長の発言は、いろいろな問題が片付くまでは、すべきでない発言だと思います。

投稿者 : admin 投稿日時: 2011-07-23 (1205 ヒット)
産業の空洞化が言われて久しいですが、再び1ドル=80円を切ることになり、電力不足による大変さに加え、先行きが心配です。

国内残業の空洞化は労働人口の需要の低下につながります。
既に海外シフトした会社では、海外より純利益、すなわち経営陣への「カネの流れ」があるとしても、社会全体に行き渡らせるような、大きな「カネの循環」を生じさせるものではないため、国内全体の産業構造が低下、喪失し、更には、国内消費構造が回っていかず、人が育たない環境になるわけです。

具体的に言えば、海外では1億円、国内では5000万円の純利益がでる同じ事業があるとすれば、会社の純利益は海外で事業をする方が得ですが、純利益を出すために必要な総事業費を10億円とすれば、それを、国内で生産する場合には、10億円のうち大きな割合を占める人件費部分は確実に国内に落とされ、「カネが循環」するのに対して、海外生産の場合には、海外に10億円が落とされるので、国内に回るカネは、純利益の1億円に限られるため、経済循環効果がなくなり、そのために、回るべきところにカネが回っていかないことになるわけです。
(企業には、1億円の利益ができる海外よりも国内にとどめさせるわけですから、魅力的人材の育成、その他海外にない付加価値を国内に用意する必要があります。)

我が国は、最低賃金法による最低賃金が高水準で維持されており、高い人件費の壁があるので、付加価値の高い工業製品の生産をする工場が、利益構造のある産業として国内に残っているというところだったのでしょうか。
原発で、農産物の輸出の急激な発展は期待できませんので、工業、サービス業の維持・発展は、国内の産業構造の保持のためには、本当は、至上命題にしなければならないはずです。

日本の工場は、高い人件費を、機械化でコストダウンを図ってきたわけですが、節電、電気料金の値上げは、結局、工場を直撃することになりました。
節電は、機械を十分に稼働できないことに、電気料金の値上げは人件費の代替であった部分の工賃のアップにつながります。
有望な国内産業の発展・維持がなければ「カネの循環」が維持・確保できない根本的な問題点を考慮すれば、正直、津波、地震の差し迫った危険のない地域の原発は、早めに稼働して、機械化を推し進めてきた我が国の工場体制を維持できる環境を確保し、海外シフトを阻止する必要はあるのではと思います。やはり、脱原発は、ソフトランディングを目指すべきです。

弁護士は、国内産業に大きく影響される職業で(渉外事務所も含め、日本企業の国内法関連の仕事が多いため)、国内産業、人口の健全な配置、育成とともに、発展維持できる業界だと考えています。マクロ的な危機感は、弁護士をしていると、リアルに感じます。

ところで、新司法試験の結果発表が9月8日に行われ、その頃前後から合格者の就職活動が始まります。既に弁護士会では来年度の合格者のための求人需要掘り起こしが始まっています。
今年の修習生の内定が現段階で約4〜5割程度とのことなので、今年も確実に弁護士事務所に就職しないまま弁護士になる人が増えることになります。関東以北は震災の影響があるので採用控えもあるようです。今年は2〜3割程度が弁護士・裁判官、検事として就職しないことになるのでしょうか。
これでは大卒の就職率90%よりも低いことになりますが、弁護士の場合には、新規需要がそうたくさんあるわけではないので、来年以降の就職は、もっと大変になると予想されます。

例年、採算度外視で新人採用をする事務所があり、また初年度から経費負担で弁護士事務所に入る人もいるのに(給料を貰うのではなく、最初は持ち出すことになる。)、就職率が7〜8割というのでは、大変な世の中になったと思います。
私は、就職率を上げるため、合格者を思いきって半分程度にしてもいいと思います。
国家財政難から、裁判官、検事も定員を減らすことはあっても、これ以上増やせません。
更に、修習期間が以前の2年から1年になったために、さしたるトレーニングを受けずに、裁判官、検察官、弁護士になっていく人も多いようです。1年分は、法曹になってから、トレーニングする他ないのですが、それでも、最低限の素養がなければ正直厳しいのかなと思います。
弁護士採用の選考基準は、相性、人柄、学歴と司法試験の成績、修習中の取り組み度により判断するのがオーソドックスなところですが、司法試験の成績が低すぎて就職できない実情が当然あるわけで、そうであれば最初から合格人数を減らす方が、余程受験生のためになるような気がします。
合格者は、せいぜい1000名前後にして、就職できない人数を1割程度に抑えるというのが、望ましいと考えます。
もちろん、合格者の減少により、司法試験そのものは、再び難易度が上がるかも知れませんが、民法の要件事実もまともに頭の中に入らずに法曹になっても、いいサービスの提供ができるとは思えませんので、法曹の質向上にはちょうどいいかと思います。

ちなみに、今、裁判所は、裁判期間の長期化を問題視して、「裁判官が足りない」キャンペーンをしていますが、これは無関係でしょう。
現場の立場からすれば、離婚事件その他ややこしい事件は、ドロドロとした生々しいものを、時が解決してくれることもあります。更に、離婚事件などは、時間をある程度かけて裁判をして、当事者に言いたいことを言わせないと、結果が出ても、消化不良のまま終わってしまいます。そうすると、結果に納得いかない当事者は、関係者を標的にした殺人事件に発展する世の中ですから、家事事件等、当事者が強いこだわりを持ちやすい事件においては、個人的には、ある程度しっかりやった方がいいのではないかと思います。

投稿者 : admin 投稿日時: 2011-05-10 (1115 ヒット)
さて、連休前後に内閣官房参与のメンバーが、文部科学省が学校校庭の年間放射線許容量を1ミリシーベルトから1〜20ミリシーベルトに引き上げたことに対し、抗議の意味で辞任したとの報道がありました。
なぜ、文部科学省がこのような引き上げをしたかと言えば、単純なことですが、福島県内等の学校校庭を、現状のままで短時間でも使用すると1ミリシーベルトを簡単に超えてしまうからです。毎時1マイクロシーベルトの地点が続出していた、していることを考えれば、そのまま校庭を使用すれば超えるのは当然のことです。

ただ、20ミリシーベルトは、レントゲン技師の年間許容被曝量50ミリシーベルトの半分以下だともしても、放射線の影響を特に受けやすいとされる子どもの被爆量がこれでいいわけありません。
医療被曝線量ガイドラインでも、レントゲン撮影をする場合であっても、小児は成人と比べてかなり低くするよう定められています。

この問題を解決する最有力な方法は、放射性物質に汚染された表土を除去することです。現在では新たに降り注がれる放射性物質はほとんどない状態にあるので、表土除去は唯一の実効性ある手段です。
しかし、学校校庭の表土の廃棄については、郡山市内であっても最終処分場への廃棄に強い反対があり、廃棄できませんでした。校庭にそのまま野積みになっていれば、意味はありません。

他方、福島第1原発の敷地表土に強い放射性物質が降り注ぎ、その濃度が作業の妨げになっていることは、明らかです。ここも表土からの放射性物質から出る放射線を少しでも緩和できればいいに超したことはありません。ただ、地下水への放射性物質の流出が止まっていないので、残土除去は今はできません。
そこで、福島第1原発の敷地全体を、頑丈な基礎を持つコンクリート基礎・擁壁で囲み、校庭から出る、おそらく大量と予想される、微量放射能を含んだ表土を運び込み、少なくとも一定期間盛り土するのは、実効性ある方法だと思います。1mあるいは2m程度土を盛ったら、それでも放射性物質を結構遮断できるのではないでしょうか。
高濃度の放射性物質を含んだ汚染水の処理施設を地下に作るということですが、これも、盛り土を前提とすれば、作業はより簡単にできます。
余震の津波により盛り土の流出の懸念もありますが、もともと、ここの表土の放射性物質は比較にならない程高いのですから、地盤の流出が盛り土(但し、通常以上に地盤に転圧をかけることはもちろん必要です)にとどまるのであれば、放射性物質の流失が抑えられるメリットがあります。
問題は、地盤上昇により、既存の建物の入り口をどうするかの問題はあり、それなりの工事費用はかかるでしょうが、それを上回るメリットが見込まれそうです。
いい案だと思うのですが、どうでしょうか。

幼児乳児、児童においては、ある程度外気に皮膚をさらし、また適度な屋外での運動をする必要がありますが(公園デビューはママのためだけではありません。)、そろそろ震災から2か月経つのに、ほとんど戸外に出られない子どもたちが大量に発生するのは、やはりいいことではないのです。

文部科学省のやるべきことは、基準を緩和すべきことではなく、校庭の表土除去を速やかに行い、その上で、毎日の放射線飛散予測から、どこの校庭が使えないかを各学校に通知するような臨機応変な態度です。是非、実践的、実効的な表土除去の手はずを整えて下さい。年間被曝量1ミリシーベルトを超えない範囲にするには、福島県内のかなりの範囲の学校校庭が対象になるはずです。
が、福島県内であれば、現状がわかっているはずです。今更、パニックでもないでしょう。しかも福島第1原発は、これから夏に向けて、表土から出る放射性物質を減らすことは急務であり、高い濃度故、また、地下水への流出が止まっていない状態にある故、むしろ盛り土で対応するのが望ましいような気がします。

先日、文科省が校庭の下土と上土を入れ替える実験をし、それにより放射線量が格段に下がる結果を得たとのことです。下土を表土と交換するだけ低くなるのは当然と言えば、当然ですが、できれば、どこかで割り切り(大反対があっても、押し切るという意味も含みます)、一時保管場所・保管場所を設定した上で、表土除去をして、遠隔地からの運んできた土で表土の入れ替えをやって欲しいものです。小学校、保育園、幼稚園だけは。

国の責任機関であるはずの文部科学省が後ろ向きになったのでは、何も改善されません。是非率先してやっていただきたいと思います。

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